第7話 中学一年生 異世界召喚って何?

 ふぅ、一気に話したから少し疲れたな。

 まぁ、話はまだまだこれからなんだが。


 ・・・よし、続きな?


 あ〜、そんな感じで小学生の間は実家に居たんだが、6年になる頃には事情があって雪羅親子も俺の家を離れる事になって、卒業を迎える頃にはまた一人暮らしをしてたんだ。


 で、そんな俺の現状を知った従姉妹・・・そう、そこにいる舞さんの母親が俺の事を迎えに来たんだよ。

 一緒に暮らさないかってな。


 なんでも、その頃に舞さんちのおふくろさんの家が経営している霊具・・・まぁ、商売道具の販売所だな。

 そこにおふくろさんの弟でもある、うちのクソ親父が買い物に行ったらしくてな?


 で、そこで俺の事を聞かれてしどろもどろの親父を怪しんで、洗いざらい吐かせたところネグレクト・・・って言っていいのかどうか知らんけど、・・・あ、良いの?

 俺が一人で住んでいる事を知って大激怒したらしくて、俺の親権を奪ったらしいんだよ。


 でもまぁ、あんまり困っていなかったし、ちょっと悪いなって思ってたから、最初は拒否してたんだが、


『ねぇ零ちゃん?おばちゃんちに一緒に住も?そうしたらあのクソ馬鹿と顔合わせ無くても良いんだよ?』


 って言われてなぁ?

 俺もクソ親父と顔を合わせるの面倒だったし、雪羅達がいなくて少し人恋しくなってたのもあって、せっかくだから甘えて見る事にしたんだな。


 この時におふくろさんちに・・・つまり、舞さんの家で初めて会ったのが・・・あ、違うの?

 俺がもう少し小さい時に会ってるの?


 す、すまん。

 そんなに小さな時の事は流石に覚えてねぇ。


 お、怒るのやめて下さいよ!

 いひゃい痛いいひゃい痛い

 ほっへひっぴゃるひゃぁほっぺ引っぱるなぁ!!


 ・・・んん!


 話を戻すぜ?


 で、俺はこっちに引っ越して来たんだよ。


 中学はこっちで通うことになったな。

 まぁ、最初は良かったんだ。


 ある程度貯蓄もあったし、おばさんちも裕福だったから特に支出もなかったしな。

 無理に仕事をする必要も無かったんだ。

 そもそも、俺が祓魔師をやる事におふくろさんも舞さんも反対だったしな。


 仕事で遅れていた勉強を当時高校生の舞さんに見てもらって、なんとか追いつこうとして頑張ったんだよ。


 それ以外はのんびりと過ごしてたんだが・・・そこで問題が起きたんだ。


 たしか12月の冬休みだったと思うんだが、少し鈍ってたから身体を動かそうと思って学校指定のジャージで外に出たんだよ。

 人気の無い公園に着いた時、なんだか不思議な力を感じてな?


 なんだろうと思って公園の中心に行くと、いきなり周囲が光ってな?


 驚いて臨戦態勢を取ったんだが・・・






「おお!無事成功した!!ようこそ勇者達よ!我が国は其方らを歓迎する!!」

「・・・は?」


 意味わからんだろ?


 当然俺も意味わからんかった。

 

 周りを見ても、同じようにキョロキョロとしている同じ年くらいの子が一人と、明らかに他の世界の住人と思われるちょっと年が上の男と女が一人ずつ居たんだ。


 ああ、そうそう、そこにいる大魔法使いの四之宮と初めて会った時だな。


 んで、偉そうな親父にそう言われたんだよ。

 まぁ、王様だったんだけどよ。

 向こうで詳しい話を聞いたら、なんでも邪悪な魔王を倒して欲しいとか言われてなぁ?


 勿論拒否して一人で帰る手段を探そうとしたんだが・・・どうして良いかわからなくて半べそかいてた四之宮を放っておけなくてなぁ?

 帰る手段は魔王を討伐したらその世界の神がなんとかしてくれるとか言うもんだから、仕方がなく討伐の旅に出る事にしたんだよな。


 ・・・お、おい、四之宮、なんで叩くんだよ?

 だ、だって仕方がないだろ?

 実際半べそかいて・・・いってぇ!?

 魔力を使って強化するなって!!

 わかった!悪かったって!!


 で、舞さんはなんで俺をつねってるんです?

 痛いんで離してもらえません?


 ・・・知らないんだけど?って?

 いや、そりゃ知らないでしょうよ。

 

 だって、戻って来たのは向こうに行ったのと同じ時間だったんだから。


 ・・・なんで言わなかったかって?

 いや、言えないでしょうよ、こんなの言ったら頭おかしいって言われるだけでしょうが!!


 あだだだだ!?わ、わかりましたよ!これからは言いますから!!


 ・・・はぁ〜いってぇ・・・あ、続きね?


 まぁ、魔王討伐の旅は大変だったが、俺にはそこまででもなかったんだ。

 ん?なんでかって?

 まぁ、あんな幼少期を過ごしてたら、そうなるって。


 化け物みたいなのと戦うのも慣れてたし、身体強化は元々ある膨大な霊力で出来るし、何より、魔力ってのを得る事が出来たし。


 あ?俺は勇者だったのかって? 

 いや、違う。


 勇者は、別の世界から来たエルフって種族の男だった。

 で、エルフの女が聖女・・・実際には巫女だったらしいが、大きな役割はその二人だな。

 で、四之宮が大魔法使いで、俺が霊拳士ってのだった。


 ああ、霊力を使って戦う拳士・・・違う、剣士じゃなくて拳士。

 拳の方な?


 俺の霊力と体術は向こうでも大いに役立ってくれたって事だ。

 まぁ、魔力も役にたったけどな。


 回復魔法を覚えたし。


 ん?俺はそんなに強くなかっただろうって?

 

 ・・・まぁ、舞さんと暁月の認識じゃそうだろうな。

 舞さんは親父から俺が落ちこぼれって聞いてただろうし、暁月は落ちこぼれ時代を直接知ってるし。

 

 だが、さっきも話したけど、俺は霊力を纏って戦うとかなり強かったんだ。

 有名な祓魔師であるクソ親父さえもボコボコに出来る位にな。


「主様は最強の祓魔師ですよ。樹海の大妖である千年妖樹さえも倒したのですから。」


 あ〜、雪羅さんや?

 余計な事を言わない。


 ほら、暁月と舞さんが絶句しちゃってるから。

 あれ、一応最強クラスのバケモンだから。


 話しを戻すぞ?


 まぁ、向こうでもそれなりに戦えた俺は、四人で一年位旅して、見事倒す事ができたんだよ。

 え?端折り過ぎだって?


 う〜んそう言われてもなぁ・・・あ、そうそう、その旅で出会ったんだよな。

 夜夢に。


 確か、魔王を討伐する3ヶ月位前だったか?


 旅の途中で、俺だけドジって転移陣っていう、踏んだ奴を他の場所に飛ばす罠で、別の場所に飛ばされたんだよなぁ。

 ほんと、あれ、俺で良かったわ。


 飛ばされた先は岩だらけ、魔物だらけの魔窟でなぁ。

 単独でそこそこ戦えて回復も出来る俺か、クソ強い勇者じゃなかったら死んでたわ。


 ん?なんだ四之宮?

 ・・・あ〜、謝らなくて良い。

 あれは仕方がなかったんだ。


「でも、零士さんは私をかばって・・・」


 だから良いって。

 あれは俺のドジ、それで良いんだよ。


 んん!話を戻すぞ?


 まぁ、飛ばされた先の魔窟を抜け出した俺は、ボロ小屋を見つけたんだよ。

 そこに居たのがまだ小さい痩せこけた魔族・・・そこにいるサキュバスの夜夢だったんだ。


 詳しい話は端折るが、夜夢は同族から排斥されててなぁ。

 んで、一人で逃げ出して餓死寸前だったんだ。


 魔族は魔王の眷属だったし、色々迷ったんだが・・・流石に子供をってのは忍びなくてな?


 俺の霊力を与えてみたんだ。

 元々サキュバスってのは、精力・・・ライフエナジーってのかね?それを吸って生きているんだが、霊力も同じようなもんだからな。

 それでなんとか飢えをしのがせて・・・なんだよ?

 どうやって与えたかって?


 そんなの・・・「ご主人様のあつ〜い抱擁でくれたんだよ〜♡」・・・夜夢、少し静かにしなさい。

 ・・・おい、お前らなんて目で俺を見てんだ!!


 誤解だからな?

 そもそも、こいつもう動けなかったんだよ。

 だから仕方がなく、少しでも吸収出来るようにだな?

 

 な、なんだよ?

 なんでそんなに睨みながら詰め寄って・・・


 はぁ!?抱いたかだと!?

 んな事してねぇっての!!

 さっきも言ったが、こいつもうその時は動けなかったんだっつーの!!


 全身から霊力を流すには抱きしめるしか無かったんだって!

 

 それに俺の好みはボン・キュ・ボンの・・・いってぇ!!何しやがる!!

 

 な、なんで涙ぐんでいるんだ暁月?

 お、おい、雪羅まで・・・あ〜!!話戻すぞ話!! 


 と、とにかく!

 とりあえず命の危機を脱した夜夢だったんだが、詳しい事情を聞いたらどうにもそのままじゃなんともならん事が分かったから、取り敢えず保護したんだよ。


 で、なんとか四之宮達と合流して、んで夜夢は危険じゃない魔族用の保護施設に入れたんだ。

 四之宮もその時会ってる。


 ああ、そう。

 その時の『いや!ついていくもん!!』って泣き叫んでたガリガリなガキンチョ・・・ぐっ!

 夜夢!足踏むな!!


 そんで取り敢えず無事魔王を倒して神・・・まぁ、実際には女神だったんだが、女神に帰して貰ったってわけだ!


 あ?

 それで終わりかって?


 ・・・まぁ、そうだな。

 

 一回目の時は。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る