第5章 世界を越えた夫婦喧嘩 巻き込むのやめてくれません?
第43話 琥珀さんが来てからの日常
さて、先輩・・・琥珀さんの問題が解消してからすでに二週間が過ぎた。
あれから、特になにも無い日常が続いている。
いや、そうでも無いか。
少し変わった事もある。
例えば、
「あら、零士くん?」
「お?琥珀さんどうも!」
「・・・今日もおっかけ回されてるのかしら?」
相変わらず、学校内でクラスを問わず男どもに追っかけ回されているのを琥珀さんが目撃した時、琥珀さんはというと、
「あなた達?彼を追いかけ回すのは止めなさい。彼に迷惑よ?」
「い、いえ、会長・・・その・・・」
「き、斬来はですね・・・?」
「何かあるのかしら?」
「その・・・特には・・・」
「ならもう良いわね?ほら、零士くん?行きましょう?」
「うっす。」
「あ・・・くっ・・・腕を!?」
「くそっ!なんであいつばっかりっ!!」
「あの会長が・・・今まで、全ての男子生徒を降って来た難攻不落の会長がっ!!!!」
俺と腕を組んで助けてくれたりする。
また、男ども大勢に詰め寄られている時なんかも、見かけたら必ず来てくれて、
「彼を借りていくわよ?」
「「「「「・・・はい・・・」」」」」
そう言って連れ出してくれるのだ。
ああ!
なんて女神なの!?
これから女神って呼んだ方が良いのか!?
「どうしたの?」
「いえ、琥珀さんの事を女神と呼んだほうが良いか真剣に悩んでるんす。」
「・・・呼んだらしばくわよ?」
「イエス!マム!!」
まぁ、たまにこんなこともあるが。
ちなみに、これは琥珀さんだけじゃない。
夜夢や雪羅も、今までは静観していたが、琥珀さんの行動を見て、同じように助けてくれる事が増えた。
というよりも、
「琥珀がええんやったら、ウチらもええやろ。」
「そうだよね〜。夜夢ちゃんも解禁だ〜!!」
今まで、学校内での俺との接触を最小限にしていたのを完全に取っ払い、隙があれば絡んでくるようになってしまった。
まぁ、もう今更だから良いんだが、完全に目立っちまってるなぁ。
どうしたもんかねぇ?
それにしても、だ。
「・・・」
部室で無言でぼ〜っとしている四之宮。
最近、よく四之宮が考え込んでいる事が多い。
何か悩み事でも抱えているのかと思い、同好会の時に聞いてはいるのだが、
「え?あ、大丈夫ですよ?」
と言って詳しく教えてくれない。
絶対に嘘だと思う。
気になって暁月にも聞いてみたが、暁月も難しい顔をして、
「私にも何も言わないのよねぇ。なんとなく、何を悩んでいるのかは想像つくんだけどさ。ま、自分で解決するしかない問題だし、放って置くしかないでしょ。」
ということらしい。
何やら暁月には想像がついているらしいが、俺にはさっぱりわからん。
まぁ、大きな問題じゃなけりゃそれで良い。
なんだかんだで、四之宮は戦友だし、可愛い後輩であり、俺にとっても妹みたいなもんだからな。
助けてあげられるのであれば、助けてやりたいし。
「ところでアンタ・・・結城先輩とはイヤらしい事してないのよね?」
「しつけぇなぁ。してねぇって!!」
「・・・ほんとかしら?」
こちらを睨むようにしている暁月。
このやり取りもとても多い。
何をそんなに気にしているだかねぇ?
ちなみに、本当にちなみにではあるが、琥珀さんとはまだ本当にシテいない。
四回ほど一緒に寝たが、シテいない。
一応、キスはした。
というかされた。
奪われた。
「あなたが悪いのよ?こんなに私の気持ちを奪って・・・悪い人だわ。」
これがキスされた直後に言われた言葉だ。
あれは二回目に一緒に寝る直前。
ベッドで寝転がったあと、たまたま寝返りをした時、琥珀さんの顔が目の目にありったので、「整った顔だな〜」って思って見てたらら、パチリと目をあけた琥珀さんにいきなり唇を塞がれた。
どうも、俺の心の声を聞き取ったらしい。
そう、それも問題だ。
あの、最初に俺と一緒に寝てから、何故か俺の心の声を先輩が聞き取れるようになってしまった。
どうにも、うまく隠せない。
なんでか考えたが、相談したかすみさんによると、
「零士が琥珀を家族認定して、心の防壁が緩んでいるから。」
という回答だった。
う〜む。
なんだか照れくさい。
それにしても、だ。
「・・・」
今日も四之宮は何かを悩んでいるらしい。
いったい、なんなのかねぇ?
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