第4章 知ったこっちゃねぇ

第34話 夢だけど、夢じゃなかったっ!!!!

「・・・あるぇ?俺、何してんの?」

「う・・・ん・・・」


 今は早朝。

 窓から差し込む朝日がベッドに差し込む。


 そしてそんな朝日が照らすのは俺と・・・


「・・・おはよ、斬来・・・」


 スタイル抜群の極上の美女。

 そんな美女が全裸で俺の隣に横たわっている。 

 

 眠そうな目をこすりながら、こちらを見ていた。

 その顔は知っている顔。


「オ、オハヨウゴザイマス隠岐せんせ・・・」


 そう!普段の陰気な様子を微塵も感じさせない隠岐せんせだ!!


 隠岐せんせは美女だ。

 いつも長い前髪で隠している顔はすげぇ整ってるし、サラシなんかで隠している胸もでっけぇし尻もでけぇ。

 寝起きで気怠げな感じは色気に溢れている。

 ムンムンである!!


 まさに、薄い本のくノ一そのままだ。


 こんなところに居たんだな・・・薄い本くノ一・・・って!!


「いや、そうじゃねーだろ俺!?何先生に手を出してんの!?やべーじゃん!!」


 うげぇ、どーしよ!?

 これバレたら俺だけじゃなく隠岐せんせもやべぇんじゃ!?


「まぁ落ち着け斬来、いや、主。」

「落ち着けるわけねーじゃん・・・ん?主?」

「よく思い出す。」


 思い出す・・・思い出すねぇ?

 え〜っと、昨日夜に隠岐せんせが俺を襲撃しようとして、でも俺が起きたから襲撃は無くて、で、なんかしんねーけど抱きしめられて・・・あれ?俺、泣いた?嘘でしょ?あ、そっか、夢か!!うんうん、夢だろ!!


「夢のような時間だった。主のめそめそ、可愛いかった。」

「うが〜〜〜〜っ!!!」


 夢だけど、夢じゃなかったっ!!!!!


 思い出してきたぞ!

 たしか、そん時、隠岐せんせが俺に仕えるとかって・・・んで、そのまま・・・


「私の初めて、美味しかった?」

「はいっ!!結構なお手前でっ!!!」


 って違う!

 そうじゃない!!

 いや、確かに凄く気持ち良かったんだけどもっ!!!


「隠岐せんせはそれで」

「違う。」

「はい?」


 何が?


「隠岐先生、じゃない。昨夜言った。」


 昨夜・・・昨夜・・・



 『かすみ、これから家ではそう呼んで欲しい。これより私もまた、貴方の家族であり貴方の忍び。』


 あ、これか。

 

「家族、か。」

「そう。嫌?」

「嫌じゃ、ねぇ。」


 家族、家族か。

 そうだな。


 昨日隠岐せんせはこうも言ってた。


 『主よこの身を捧げる。だから、気を休めて欲しい。』


てな。


 実際、俺はせんせと致した後、すっげぇぐっすり寝られた気がする。

 疲れたとかそういうんじゃない。

 なにせ、何回かしたとはいえ、いつもより回数少なかったくらいだし。


 って事は、俺はもう隠岐せんせを認めているってこった。

 

 なんだこれ?

 こんなに気が休まったのは久しぶりな気がする。


 隠岐せんせだったからか?

 

 ・・・違うな。

 今なら、雪羅でも夜夢でも、舞さんでもそうなる気がする。


 どうしてだ?

 昨日涙が流れてからなにかおかしい。


 いや、戻った?

 

 ま、それはいっか。


 それよりも隠岐せんせが少し悲しそうに見える。

 だから、


「いや、家族だな。かすみさん、これからよろしく。」


 俺はそう言って手を差し出した。

 

「別にかすみ、で良いのだけど。」

「流石に【さん】はつけさせてよ。」

「分かった。それはいずれ。」


 いずれ、ね。

 ま、それはそのうち、だな。







「おっはよ零ちゃん、隠岐ちゃん!」

「おはようございます、主様、隠岐先生。」

「おはよー御主人様、隠岐せんせ〜。」

「おう、おはよ。」

「おはよう、桐谷、九重、八田。」


 居間に行くとみんながいた。

 雪羅と夜夢は朝食の準備をしている。


 そして、全員で食卓に着く。


「あ〜、みんなどこまで知ってる?」

「「「全部」」」

「あ、そう。」


 全部、ねぇ?

 ってこた〜あらかじめ話がついてたってことか。


「なら、話がはええ。あ〜、ちょっと俺の話を聞いてくれるか?」


 俺の言葉に、みんなが俺を見る。


「なんつーか・・・昨日隠岐・・・っと、かすみさんに言われたんだが、俺たちは家族なんだってさ。で、俺はそれに納得しちまった。なんでか知らんが、納得できちまった。なんだか、みんなが居ないと考えると寂しくなるっつーか・・・だから、この家の中では、名前かあだ名で呼びあわねぇか?」

 

 俺の言葉に、雪羅と夜夢は目を見開き、そして、


「分かった、零士。舞、かすみ、よろしゅう。」

「分かったよ〜、レージ。舞っち、かすみん。よろしくね〜?」


 嬉しそうにそう言った。

 何故か、その目尻には光るものも見える気がする。

 なんでだ?


「おっけ〜。雪羅ちゃん、夜夢ちゃん、それにかすみちゃんもよろしく〜!」

「セツラ、ヤム、それに・・・マイ、主・・・いや、レイジこれからよろしく。」


 舞さんはいつもどおりのニコニコ。

 かすみさんは髪を後ろでくくり、素顔をあらわにして微笑んでいる。


 なんだ?

 胸があったかい。

 

 なんだか分からんが・・・この気持ちは忘れちゃいけねぇ気がする。


****************

四章です。

少しづつ変わっていく零士達をお楽しみ下さい。

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