目指せありふれた穏やかで幸せな日常！〜非日常系の女子達を添えて〜ねぇ、なんでスペシャルしか来てくれないの？俺はノーマルで良いんです！！

第62話 超能力者の覚悟

「良いかい？女神から話を聞いた時、彼女は私の考えている通りで問題が無い事を保証してくれた。でも、それは私が考えるリスクも同様という事だ。つまり、」

　かすみさんが捜索の為に家から飛び出した後、舞さんはそれぞれに暁月さんが来るまでの役割を話したわ。

　まず、雪羅さんの仕事は、零士くんにライフエナジーというのを流し込むというもの。

　これは、零士くんとパス？というのが繋がっている雪羅さんと夜夢さんの二人でなければ駄目なそうなの。

　ただし、夜夢さんには暁月さんが到着し次第、【夢に入る】という夢魔特有の能力を発動して貰わなければいけないから、消耗させられない。

　夜夢さんはそれまで力？魔力？は温存して貰って、水を準備したり、汗を吹いたり身の回りのお世話をしてもらう事になった。

　舞さんは今から急いで零具？というのを作るらしい。

　暁月さんの力を増幅させるものだそうで、前々から彼女の力の形質を分析していたらしく、なんとか間に合わせるって言っていたわ。

　かすみさんはさっきも言った通り、暁月さんの捜索よ。

　私は手分けして探した方が効率的なんじゃと思ったのだけれど、

「これは女神からの御信託なんだよ。彼女がその辺りを考えないと思えない。おそらく、それぞれがぞれぞれ自分の役割をこなさないと零ちゃんは救えない。」

　って言葉で考えを改めたわ。

　計り知れない存在からのお墨付きじゃ、私なんていう凡人の出る幕は無いもの。

　そして、聖女のミルさんは結界というのを張ってくれたわ。

　ミルさんの役割は２つ。

　一つは、今魂レベルで消耗している零士くんを、様々な要因から守るための聖なる結界？というのを張って貰う事が一つ。

　結界は張ってしまいさえすれば、力の損耗は抑えられるから、結界を展開した今は瞑想をして力を戻して貰っているの。

　そして、もう一つはこちらがメイン。

　夜夢さんの力の補助。

　なんでも、サキュバスクイーンとなっている夜夢さんの力は、聖女であるミルさんの力を越えているそうなの。

　だから合わせる為に力を高める必要があるらしいわ。

　詳しいことは私には分からないけれど、本来はミルさんの持つ聖なる力と夜夢さんの本来司る魔の力は相反するものらしいのだけれど、今回のように”助けたい”という強い想いがあり、そもそも零士くんの清浄な力を元に成長した夜夢さんのようにどちらの性質も持っている聖魔とも言える存在であれば、力を合わせる事は可能らしいの。

　だから、その時の為に今は瞑想をしているわ。

　そして私は、零士くんの身体を念動力で抑えるというもの。

　というのも、

　ビクンッ！！！

「くっ！？なんて力なの！？」

　そう、たまに跳ねるように零士くんの身体が動くの。

　これはおそらく、夢の中で零士くんが戦っているから。

　舞さんに･･･いえ、異世界の女神によると、零士くんにかけられた【呪い】は修羅の呪いだそうなのよ。

　ひたすら戦い続ける修羅地獄。

　その反動なのね。

　だから、ライフエナジーの受け渡しや結界から出ないように抑えるのが私の役目。

　零士くんの力は見た目よりも遥かに強い。

　寝返りのようなものでも、私の操る力の限界を超える。

　でも、

「だからと言って泣き言を言ってられない！！」

　意地でも抑え込んであげるんだから！！

　私を救ってくれた彼を助ける為にも！！！

「お邪魔します！！っ！！お手伝いしますっ！！！零士さん！今助けますから！！」

　そこへ美奈さんが飛び込んできた。

　玄関の鍵は開けてあったからね。

　美奈さんは、暁月さんを探しに行くと母親に伝えてここに来たそうよ。

　そして予（あらかじ）め、電話で美奈さんに役割は伝えてあるの。

「『高等回復（ハイヒール）』！！」

　そう、美奈さんの役割は、雪羅さんに似て非なるもの。

　零士くんの身体からたまに飛び散る血を見れば分かるように、夢の中で戦う零士くんの力が、どういった仕組みかわからないけれど、たまに身体に反映される事がある。

　ようは、傷がそのまま再現される時があるのよ。

　雪羅さんの話では、おそらく魂に刻まれるレベルの傷を負っているのではないかと言っていたわ。

　美奈さんが来たことで、その傷も癒えたわ･･･まぁ、すぐにまた傷は出るんだけど。

　でも、これでなんとか態勢は整ったわ。

　後は暁月さんを待つだけ。

　お願い。

　こんな風に人と違う力を持たせ、その結果家庭が崩壊し、大好きだったお母さんすら亡くしてから、ずっと恨んできた神様。

　どうか、零士くんを助けて下さい。

　私は頑張るから。

　みんなで頑張るから。

　どうか、私達を見守って居て下さい。

　零士くん、絶対に助けるから！

　まだ抱かれても無いのに勝手に死んだら怒るからね！！

　私は、あなたと愛し合いたいのだから。

　あなたの子供が欲しいのだから。

　私が心から欲しかった、愛すべき家族が作りたいのだから！

　だから、お願い！

　私達が行くまで頑張って！！

　その為なら

「っ！！〜〜〜〜〜〜っっっっ！！」

　跳ね回る零士くんの身体をなんとか念動力で押さえつける。

　ここで無理して超能力なんて無くなっても良い。

　あなたには代えられないのだから。