今さらのプロローグ 10 まずは正拳突きで……。
わたしは恥ずかしくなり少し赤面しながら(わたしが恥ずかしがることではないのだが)、ベルウッドさんを
局長は廊下を進み、
ちなみに、
外観の割りに建物内は広く、居住するにも決して悪くはない。一歩外へ出ればスラム街なので
突き当りのドアを開け、オフィスの入り口よりももっと段数の多い
やはり念のために見ると、ガン助がベルウッドさんを
なんて利口な犬だろう……。
階段を下り切ったところで広い空間に出た。大まかだが、テニスコート十面分程度の長方形空間といったところ。
床も壁も天井も灰色のコンクリート製で柱も窓もなく、
「何だ、ここは?」
音の反響具合に
「ここが演習室よ」
と、局長。
「ところでルーサー、さっきから気になってたんだがな、今から少しばかり暴れることになる。動きやすい格好になった方がいい」
軍曹が言って、脱いだ上着を簡単に
そう言えば、適性検査のことを
「期待してるわ、ルーサー」
局長が言うと、ベルウッドさんはそこはかとなく
「わっ! ちょっと、いきなり何するんです!」
「
じゃあ、レディに服を投げ付ける行為はどうなのだ?
それより、服に触れて今さら気付いたのだが、昨夜ほどコロンの匂いが利いていない。昨夜は鼻の
「じゃあ、始めるわよ。首から上と、あと体の中心への攻撃は禁止」
「
「あってもほとんど役には立たんだろ」
軍曹の言う通りである。
ちなみに、わたしが適性検査を受けた際は防具を使用した。軍曹は装備無しだったが、ド
なぜこんなわたしが採用されたのか、後に局長と軍曹が話してくれた、
実力を見たかったわけではない。本当に練識功の保持者なのかどうかと、あと何よりもやる気を見たかっただけだ、と。
練識功の保持者であれば、いかに未熟でも、努力次第で腕を上げることは可能なのだから。
「それもそうか」
ベルウッドさんは肩を
互いに
「俺は見えないんでね。そっちから仕掛けてくれ」
ベルウッドさんが軍曹に向かって手
それに応えて軍曹が床を
さすが軍曹。
まずは
ベルウッドさんは右足を引いて左手で軍曹の正拳を払う。
続いて軍曹から左フック。
これもベルウッドさんは左足を引いて右手で払った。
今度は軍曹から右足でローキック。
ベルウッドさんは左脚を腰の高さまで曲げて受け止めた。
軍曹からのそんなウォーミングアップ程度のパンチ、キックがしばらく続き、ベルウッドさんは全て
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