第四章 11 事実、わたしの悲鳴は誰にも聞こえなかったのだ。
う~ん、ステキだなぁ♥
「実は僕達、軍曹と紗希ちゃんが避難小屋にいることは知らなかったんだ。
ノエル先輩は下を向いたまま、
「でも途中で、ベルウッドさんがいきなり『紗希の悲鳴が聞こえた!』って言って、一人で飛び出して物凄い速さで引き返していって……後を追いかけたら、本当に紗希ちゃん達がいて……ベルウッドさん、凄いよね」
「え……そうだったんですか?」
確かに状況を考えれば、遠くからのわたしの悲鳴が聞こえたのは信じられない。あの猛吹雪にスノーモービルのけたたましいエンジン音が加わると、ある程度距離があれば、たとえ
事実、わたしの悲鳴は誰にも聞こえなかったのだ。ベルウッドさん以外には。
わたしがこうして無事でいられるのは
「紗希ちゃんの
そんなに
「それに、最終的にナヒトを追い払ったのもベルウッドさんだよね。僕は途中で
「そんなことありません。今回はたまたま,ベルウッドさんの特技が
これは決して
「紗希ちゃん、ベルウッドさんに対しては
「え……別に……そんなことは……」
口
ベルウッドさんに気
「気にしないで。変な意味で言ってるわけじゃないんだ。ただ、ベルウッドさんといる
物っっっ凄く気にしちゃうんですけど? 果てしなく変な意味にも取れるし。
けれども、適切な返しが思い浮かばないので、話題を変えることにした。
「……と、ところで、ノエル先輩、
「まあ……形だけはね……」
ノエル先輩はなぜかあまり浮かない表情。
「僕としてはかなりの成長だけど、まだ形を作るのがやっとで、もっと濃度を上げるようにって、局長からはダメ出しされちゃったよ」
「明日は狐魑魅渓谷へ行くことになるし、頑張ろうね。軍曹がいなくてもやれるってこと証明しなきゃ。局長に認めてもらいたいし、それに……
ああ、ノエル先輩。わたしのために、あんなふしだらオヤジに対抗意識を持たないで。ノエル先輩は今のままで超絶に魅力的で
でも、わたしの口からその素敵な事実を伝えたとしても、ノエル先輩本人はあらゆる部分で満足も納得もできないのだろう。
それから居間へ行くと、
いい匂い。お
大きな丸い木皿にはおにぎりがたくさん盛られており、その横の器には川魚―――
なんか場違いな物があるけど……?
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