第四章 12 なんていい人だろう。
「すみません。突然大勢で押しかけて……こんなにも気を
「差し
独特の
それはさて置き、場違いなフルーツやお菓子の謎は解けた。特にフルーツの缶詰なんて、
そしてやはりお米も買ったものだった。この寒冷地では稲作には適さないのだから当然だが、その貴重なお米をわたし達のためにこんなにたくさん振る舞ってくれているのだ。
この夜食、かなり
しかもご主人はわたし達に寝泊まりする部屋まで用意してくれていたのだ。まさに
「そんで、皆さん、やっぱり……
ご主人は
「はい。
「んなら、オラが皆さんを狐魑魅渓谷さァ乗っげでぎます」
「あ、ええ、でも……」
出し抜けな申し出に、局長は二の句を
もちろん有難いことだったが、これ以上、
でも、狐魑魅渓谷まで行く
この時、局長がどんな
きっと、スノーモービルを借りて、自分で運転していくつもりだったのだろう。
行って帰ってと、往復するご主人の手間を考えれば確かにその方が良い。しかし、ナヒトのあのハンドル
「帰りン心配もいらねぇです。オラが渓谷前ンとごで皆さんをお待ちすんで」
なんていい人だろう。
だが、紅衣貌をやっつけるのに数時間、ともすれば数日間掛かることもあり
「ありがとうございます。ですが……さすがにそれは危険です。悪天候にもなるでしょうし、何より紅衣貌やアポカリプスの連中に襲われる可能性もあります」
「んなら
「……しかし……我々が翌日帰って来られるかどうかも分かりませんし……」
「気ぃ遣わねでぐだせえ、局長さん。こん時期は畑もでぎねえですし、暇ですがら。皆さん帰るまで、毎日でも行ぎます」
「……は、はぁ……」
「……で、あんの~、早ぐ召し上がっでくだせぇ。そん娘さん、よだれ
ご主人はわたしを見て苦笑いする。
ノエル先輩も同じく苦笑いし、わたしにハンカチを差し出してきた。
ああああ、いけない! 空腹のあまり、よだれが出ていることにも気付かなかった! これじゃガン助よりお
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