第二章 2 嫌です。
背格好が
「待たせたな。行こう」
背後からベルウッドさんの声。
「……あ、はい」
わたしは我に返り、振り向いた。
ベルウッドさんは茶色い
「何を買ったんですか?」
「大福だ。この店のは
鋭い。わたしの声の調子で、そんなことまで
「見覚えのある人がいたけど別人だった。それだけです」
わたしは
「ノエルのそっくりさんでもいたか?」
ベルウッドさんはふざけたことを言いながら、紙袋の中から小さな包み紙を取り出す。
「違いますっ! パパに似た人です!」
わたしはムキになって言い返した。
「おいおい、パパが嫌いだから家を出たんだろ。今になって恋しくなったか? とんだファザコンだな」
「別に恋しくなんかないです! どうせ、出来の悪いわたしのことなんか
不満を爆発させたわたしの口は、甘く柔らかい物を突っ込まれて
薄い緑色の食べ物。大福である。
「これで機嫌直せ」
ベルウッドさんは小さな包み紙からもう一つ大福を取り出し、自分でも食べた。
皮は抹茶が
「
美味しいのは認めるが、
などと
紙袋にはまだ何か入っているようだ。わたしに会わせたい人とやらへのお土産だろうか。
今食べた大福は
「ま、パパの反対を押し切って
「嫌です」
わたしは
各駅停車、
感心なのは、車掌が一度切符を確認した乗客を正確に覚えていること。前の駅から新たに乗車した客のみに声を掛けるのだから、わたしに言わせれば天才的な記憶力だ。
あるいは、慣れもあるのだろうか?
そんなことを考えながら、何の気無しに窓の外を
厳密には、季節が進んだと言うべきか。
白い色の割合が多くなってきた。建物や木々、畑や田んぼに雪が積もっていたのだ。
それに、少し耳も詰まってきた。標高が高くなってきたためだ。
汽車が進むに従って降る雪の量も増え、景色の雪化粧も一層厚くなってゆく。
都合、一時間強汽車に揺られ、
汽車から降りると、那珂畠町とはかなり空気が違っていた。
それは単純に積雪が多く気温が低いためでもあるが、もっと別の要素かもしれない。自然が豊かであり町並みそのものが
ちなみに、東河岸から
ここ胡楠は那珂畠よりもさらに時間がゆっくり流れているようで、落ち着く。
……って、なんだか本当に駆け落ちしてきたような気分になりそう。イヤだな~。
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