第二章 1 まあ付き合ってやるか。
雲も
空気は冷たいながらも、風がないのでそれほど寒さは感じない。
それにしても、いくら非常時に
銃器の所持はもう少し後になりそうだが、まだ拳銃の方が携帯しやすいかも。
「ところで、今日は整体院の方もお休みですか?」
「ああ、
「? 誰です?」
「来れば分かる」
ベルウッドさんは言葉少なに答えるのみ。
まあ付き合ってやるか。どうせ、今日ノエル先輩は仕事だし、一緒にランチに行けるのは少し先になりそうなので。
車窓から
その向こうにも、もっと雪の濃い山々が
わたし達の前でお座りをするガン助が、ベルウッドさんの
基本的に外出の
もちろん
一緒に出掛けるのだから、わたしに任せてくれてもいいのに。
あ、勘違いをしないでほしい。決してガン助に焼きもちを
それから約二十分後、バスは終点の
戦後に建設された木造の
言うまでもないが、約三か月前、わたしは東河岸から汽車に乗ってこの駅にやって来た。
平日の朝だが、構内は通勤通学の時間帯よりは少し遅いので(わたしが寝過ぎたせいで)、混雑はしていなかった。
通路沿いには菓子屋や
ベルウッドさんは
「胡楠へ行くんですか?」
「ああ、いい所だ。お前さんもきっと気に入る。観光がてら
わたしに切符を差し出すベルウッドさんの声が、心なしか
そう言えば契羅城に来てから、まだ観光名所の一つも観ていなかった。
だが、ベルウッドさんの目的はわたしに観光をさせるつもりではないようである。会わせたい人がいると言ったのだから。
そーだ。このオッサンがそんな気の
別にいいけど。ちゃんとした観光なら後でノエル先輩とゆっくーりしてやるつもりだから。
と、わたしが一人
「ここで待っててくれ」
それだけ言い、小さな和菓子屋さん『
ガン助はいいとして、剣二本を背負うのはちょっと重いんですけど……?
まったく、休日の朝に早々と人をジョリ起こして、何の説明もせずに出掛け、
まだ少し眠くてイラついていたわたしは、しかめっ面で仙丹堂を
皆それぞれいろいろな事情で、この駅に来ているのだろう。
まあ、『事情』なんて重く大袈裟な物を抱えている人より、当たり前の日常で利用している人の方が
通勤通学、出張、はたまた観光や里帰り等々。
そして、今のわたしの日常はこの契羅城にある。
―――ふと……。
下りの汽車から降りてきた人々の一人に目が
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