今さらのプロローグ 9 でしたら、もうお会いしてるけど?
「ガン助が失礼した。軍曹……ってことは、あんたが局長か」
「あー悪いがな、ええと……ルーサーとかいったな。俺は局長じゃない。俺は
軍曹はベルウッドさんの肩を軽く叩き、ソファに
ベルウッドさんは
その隣にガン助もお座りしたが、
「局長は?」
「ああ、今電話中でな。そろそろ終わると思う」
軍曹が答えるのと同時に、奥のドアが開いた。
ベストタイミング。局長だった。
「お待たせしてごめんなさい。あなたが昨夜紗希が話していたルーサー・
「お目にかかれて光栄です。あなたのような素敵な女性にお会いできるのを心待ちにしておりました。どうかルーサーとお呼びください」
うわ、このオッサン。コロッと
わたしを含め、一同は
「あなたととっくりと
「でしたら、もうお会いしてるけど?」
「え?」
ベルウッドさんは手を握ったまま、かなり間の抜けた声を上げる。
「わたしがここアンブローズ
局長は両手でベルウッドさんの手を軽く握り返してから離した。
「ん……ああ」
ここへ来る前の
「じゃあとりあえず、ルーサー、適正を見せてもらおうか」
「? テキセイ?」
「軽く俺と手合わせをしてくれ。実力を見たいんだ」
「手合わせって……俺はこの通り目が見えない。何もできやしないさ」
「何もできない奴を、紗希がわざわざ連れてくるわけはない」
軍曹のこの台詞、かなり嬉しい。
戦力面ではまだまだ未熟であるわたしだが、
「でも、俺は……」
ベルウッドさんは言いかけたが、言葉を
そう。
理由は簡単。その局長が女性だから。
このオッサン、どれだけ助平なんだろう?
「いや……何でもない。早いとこ始めてくれ」
ベルウッドさんはばつが悪そうに答えた。
「じゃあ、演習室に案内するわ。ついでに、一通り部屋も見せて……じゃなくて、説明しておくから」
局長は
数歩後ろを、ガン助を
「気が進まないですか?」
ベルウッドさんの
「んー、まあ、それもあるけど……局長、
年中無休欲情オヤジ。
ちょっとでも心配してやったわたしの優しさを返せ。
局長の手をしっかり握っていた時、そんなことを
ベルウッドさんを本気で張り倒したい
どうやら聞こえてしまったようだ。前を行く局長はノーリアクションだが、聞こえないふりをしているだけかもしれない。
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