今さらのプロローグ 3 予知能力もへったくれも……。
聞かずとも、大まかな事情は
先程の
本来、こんな
つまり、予知能力もへったくれもなかったのだ。
「どうしてくれるんだよ? 一番人気のミナちゃんと、久々に忘れられない夜を過ごせるところだったのに……。わざわざ
わたしが思うに、あのミナちゃんにとっては客の一人とありふれた一夜を過ごすだけのこと。どうせすぐに忘れてしまう。
もちろん、今のベルウッドさんにそんなことを言えば火に油を注ぐことにもなりかねないので、余計な
「ちゃんと名前言いましたよね? なんであの時点で確認しなかったんですか?」
わたしは問いながら、ダイニングの方をチラリと
なるほど。確かに
「ミナちゃんを希望しても、必ず来られるとは限らないだろ。一番人気で忙しいんだ。その時は違う娘でもいいって言ってあるんだよ」
出張娼婦のシステムとやらはわたしには分からないので、さも当然のように説明されても理解が困難である。
ミナちゃんが
「あーあ、もういい。お前さんみたいな小娘にすれば、俺は
ベルウッドさんは捨て
「……まあ、莫迦で汚らわしいとは思いますけど、他人を罵る
わたしはそこで
「……意外です。娼婦に対してもあんなにお
「どんな相手であれ、そこは手抜きしないのが俺の
ベルウッドさんは無駄に
……って、
わたしは再び顔から火が出そうになった。
気まずい
「それより何の用だ? 人を
「そうでしたね。じゃあ、夕飯でもいただきながらお話します」
「……って食うなよ! あれはミナちゃんのために作ったのに! よくそんな気になれるな」
「はい。そのどぎついコロンの匂いにも少しは鼻が慣れましたので、差し
言うなり、わたしはベルウッドさんの
パッと見たところ、丸鶏の焼き加減も丁度良さそうで、オードブルの盛り付け方も悪くない。盲目であることを感じさせない腕前だが、ここまでできるなら、なぜシャツのボタンを二つも掛け違えるのか不思議である。
ベルウッドさんは無言のまま、リビングから奥の方へと姿を消した。
もしかして
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