今さらのプロローグ 4 この人自身、ちゃんと自覚があるのだ。
などと、本当にそうだとしたら、なんて心の
二十分ぐらい
「まだ匂うか?」
ベルウッドさんから予想外の質問。
「は?」
わたしは食事の手を止め、ベルウッドさんの姿をまじまじと見る。
ほんのり
「もしかして、匂いを気にしてたんですか? わざわざお風呂まで入って?」
「ほかに何がある?」
ベルウッドさんは当然のように言い返してから、ガスコンロの上の
「あの……わたしがやりますか?」
さすがにタダ
「いいよ別に。それより用件を言ってくれ」
ベルウッドさんはまだ
「じゃあ、
「………」
ベルウッドさんはお玉を持つ手を止め、見えない目をこちらに向ける。
おっといけない。いくら何でも単刀直入過ぎたかな。
「ここ最近、
「最近でもないだろ。統一戦争が終わった直後からずっとだ」
ベルウッドさんは
「わたしはその紅衣貌を退治する
「アンブローズか。時々ニュースで聞く名前だな。化物
「はい。わたし達には、紅衣貌をやっつけることのできる
「そいつは
完全に
「わたしのセンサーが正しければ、あなたは
「お
今度は自分事だ。
「ちょっと! 最後まで聞いてください!」
わたしはテーブルを叩いた。
「さっき、最初に言ったことが最後だろ。冗談じゃないよ。整体院をやって、愛犬ガン助と散歩して、年に何度か教会でママとミニコンサートを開いて、時々女の子を家に招いて夢のような一夜を過ごす。そんな
戦争の話を持ち出されると、戦争終結間近生まれのわたしはぐうの
「それに、紅衣貌が人を殺した事件って、年に何件ある? ニュースを聞いてる限りじゃ、人の犯罪の方が何倍も多い。大した問題じゃないだろ」
「大した問題にならないうちに
「滅亡しちまえばいいんだよ。どいつもこいつも莫迦ばっかりなんだ」
毎日幸せに暮らしている者の
ベルウッドさんはガスの火を消し、二人分の皿にポトフをよそってテーブルに置いた。
わたしは一つだけ確信した。
それは、ベルウッドさんが練識功に関して
この人自身、ちゃんと自覚があるのだ。
そうなれば、最後の手段!
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