第一章 7 そんなんじゃ、ないです。体だけの関係ですから。
「実はこの前、軍曹が何か薬を飲んでいるのを見たんだ。ただの血圧の薬だって、笑いながら言ってたけど……あれって、本当に血圧の薬だったのかな?」
「顔色が悪い時もありますし、なんか心配ですね」
わたしはうつむき、水を一口飲んだ。
わたしの相棒をベルウッドさんに引き
いや、病気なんかよりは、むしろ
「後で、それとなく軍曹に
ノエル先輩は
「それとさ、紗希ちゃん。これも僕が個人的に勝手に気掛かりなだけだから……その……気を悪くしないでほしいんだけど……」
打って変わって歯切れが悪い調子になり、少し間を置いてから続ける。
「ベルウッドさんとは……何でもないよね?」
ぐぼっ!
コップを
「なななな何でもないに……決まってます!」
わたしは無意味に
ちなみに今日、当のベルウッドさんは局長とパトロールに出掛けている。
「ご、ごめん。変なこと訊いて」
ノエル先輩はわたしの背中を
「ただ、なんか……ここのところ、ますます仲良しになってきたように見えて、何て言うか……」
「そ、それは仮の相棒同士としては上手く行ってますけど……」
わたしの
「よく
ノエル先輩の手はまだわたしの背中を擦っている。
「そんなんじゃ、ないです。体だけの関係ですから」
ああ、違う違う! 何を口走ってる、わたし? 落ち着け!
「……じゃなくて! 要するに、あれはただのアフターケアでしかないんです。本当に!」
説得力のある言い回しが浮かばない。
「局長命令とは言っても、同居してるんだよね。何も……ないの?」
ずいぶんと根掘り葉掘り大胆に訊いてくるものだ。
でも嬉しい♥ ノエル先輩がここまでわたしを気にかけてくれているなんて♪
ベルウッドさんと同居しているのは、ノエル先輩が言うように局長命令だからでもある。
元々わたしはこの
ほぼ家出同然で来てしまったが、それは一身上の都合
アパートを借りるにも
だからと言って、妹さん、甥っ子さんと暮らしている局長宅に
そんな訳で、とりあえずこのオフィスで寝泊まりしていたのだが、やはり仕事場なので何かと邪魔し邪魔されることもしばしば。それを抜きにしても、この周辺も夜間は怪しい連中がうろつくことも多く、
しばらくしてベルウッドさんがメンバーとなり、盲目では生活にいろいろと不便もあるだろうということで、局長が
もちろん
「僕から見ても、ベルウッドさんってカッコいいから……」
「カッコいいですか、あんなオッサンが?」
初めて会った時のベルウッドさんの
見えないためなのか、髪も
まあ、料理や整理整頓はベルウッドさんの方が
突然、ノエル先輩の手がわたしの手を握り、指を絡ませてきた。
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