今さらのプロローグ 12 やめろって言ってるの!
打ち合う二人の間近で立ち止まった局長は、十秒程度様子を
そのまま二人とものけ
想定外の横槍に集中力が
「やめろって言ってるの!」
局長の怒号が演習室内に大反響する。
ノエル先輩もわたしも
もっとも、一番びっくりしているのは軍曹とベルウッドさんだろう。
練識功の剣で全力
『スミマセン……』
それから、全員で
「あの……局長、さっきどうやってその……素手で戦闘を止めたんですか?」
ノエル先輩が局長に
「ああいう場合、武器じゃなくて手の動きを注意して見ればいいの。でも、慣れるまでは真似しないで」
言われなくても、良い子は絶対に真似しません。
「さて、ルーサー。適性検査の結果、あなたは合格よ。あなたに異存がなければ、今からアンブローズの一員になってもらうわ」
「んん、まあ……異存はない」
ベルウッドさんはなぜか複雑な表情で答えた。
……って、当初の予定ではビシッと
もしハッキリ断れないなら、適性検査でわざと手を抜いて不合格になればいいものを、やはり局長が女性とあって、つい格好をつけて本気を出してしまったということなのかな? 筋金入りの助平オヤジである。
あにはからんや、後々になって、理由がただの下心だけではなかったことが判明するのだが、この時のわたしにはそこまで知る
それにしても、先程からガン助が
「初対面で、こんなに好かれるのは嬉しいな」
軍曹がガン助の頭を撫でると、ガン助はその手に鼻を
「軍曹、あんた……」
ベルウッドさんはそこで
「……あんたとは、また全力で
「まあ、そのうちな」
「その時は練習用の剣を使いなさいよ!」
軍曹がおどけ半分に応じると、局長から特大の釘がぶっ刺された。
ごもっとも。また止める方も大変なのだから。
「分かってるよ、局長。そんなに怒らなくても。じゃあ早速、カメラを持ってくる」
軍曹はそそくさと資材倉庫へ行った。
「今、カメラって言ったのか? 何をするんだ?」
ベルウッドさんが不思議そうに訊ねる。
「記念撮影よ。メンバーが増えるたびに集合写真を撮ってるの。軍曹の趣味みたいなものね」
局長は答え、壁に飾られている四枚の集合写真をしみじみと
一番古いのは局長と軍曹の二人だけが写っている白黒写真。二人とも、特に局長が
次が二人と、それに
次はカラー写真。二人とまだ幼いノエル先輩の三人。ノエル先輩、なんてカワイイんだろう!
そしてその三人にわたしも加わったカラー写真が、今までの中では最新版。
「局長、一応言っておくが、俺の本業は整体師だ。毎日朝から晩までってわけにはない。当面、バイトってことでいいか?」
そう言えばこの人、整体院を開業してたんだっけ。さっきの軍曹との激闘を目の当たりにしてしまったので、すっかり忘れていた。
「問題ないわ。それと、これは軍曹からの希望でもあるんだけど……」
局長はそこでわたしの顔を見る。
「あなたには紗希と組んでもらうわ」
「へっ⁉」
予告なしの通達に、わたしは驚愕の声を発してしまった。
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