第三章 9 どうしてこういうおどろおどろしい場所に……?
はて? なんだかほんのり空気が生ぬるいような……? それに、温泉郷
真っ白い雪原の遠い前方、
「あれが
アイスバーンが多いため雪で足が
伊太池さんは雪上の具合を確認すると、わたし達の後ろに
「渓谷付近は少し急です。念のためアイゼンを付けましょう」
アイゼンっていうんだ。初めて見た。
改めて
渓谷の岩肌がむき出しになっているのは、きっとあそこだけ地熱や蒸気で雪が溶けているためだろう。生ぬるい空気が来ているのも納得である。
「ところで、特殊部隊はどの辺りまで行ってるんだ?」
軍曹が
「渓谷の少し奥です。ギリギリまで近付けたので」
「優秀だな。大したもんだ」
「元
そんなやりとりをしながら、わたし達はブーツにアイゼンを
もちろん、アイゼンなんて見るのも初めてだったわたしは、軍曹と伊太池さんに装着を手伝ってもらった。
固まった氷雪の下り坂を下り、狐魑魅渓谷に
渓谷自体少し曲がりくねっており、石がゴロゴロとあって足場も悪いが、歩ける道にはなっていた。雪が少ないのは救いである。
道の両サイドは一段低くなっていて、小さなお
「不気味な所ですね」
「ここは
わたしの
それにしても狂信団体って、どうしてこういうおどろおどろしい場所にアジトを
地蔵ロードを抜け、突き当りに
その岩山の
さすがに少し暑くなってきた。
わたし達は防寒着のジャケットを脱いで腰に巻いてから、
暗く
わたし達は
途中、分かれ道になっていた。
伊太池さんは迷うことなく右へ行く。
それからも分かれ道は何度かあったが、伊太池さんの足取りは慣れたものだった。一秒も考えることなく
こんな
いつの間にか
それより、先程から少し気になっていたのだが、上下左右の岩肌で、
何度目かの分かれ道の後、伊太池さんは立ち止まった。
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