今さらのプロローグ 7 言ってません言ってません。
アンブローズのオフィスは、ベルウッドさん宅の
昼間でも少し治安の悪い
統一戦争終結以来、あまり
通り沿いに
「ところでベルウッドさん。なんでガン助を連れてきたんですか? わたしがちゃんと案内するのに」
「いきなり
「なんでそういう被害妄想が起きるんです? せっかくおめかしさせたんですから、その苦労を無駄にするような
どん、がしゃん
ベルウッドさんを見上げていたわたしは前方不注意となり、通行人に正面
「おいおい、お嬢ちゃん。どこ見て歩いてんだよ?」
ぶつかった相手が最悪だった。いかにもといった
「こりゃ確実に割れたな。どうしてくれるんだ? この
お兄さん達が
この二人、誰がどう見ても骨董品などを持ち歩く
もう言うまでもないが、彼らは
「おい、
「やなこった」
ベルウッドさんは
「さもなきゃ、このお嬢ちゃんに体で
「勝手に連れて行け。せいせいするよ」
『こら、オッサン』
わたしと二人のお兄さんの声が
「紗希、今オッサンって言っただろ」
「言ってません言ってません」
ここでベルウッドさんにへそを曲げられては困る。わたしは
「俺は目が見えない分、人一倍地獄耳なんだ。百人が同時に
ベルウッドさんはチンピラお兄さん達そっちのけで、今はどうでも良い能力を
いや、何も知らないお兄さん達は
「何だよオッサン。見えねえのか?」
お兄さんの一人が
その瞬間、ベルウッドさんの右手が動いた。
左手でガン助のリードを持ったままほとんど姿勢を変えず、たちまちお兄さんの右手首を
速い!
「だから言ってるだろ。人一倍地獄耳なんだ。お前らの動きなんて手に取るように分かる」
ベルウッドさんは平然と述べると、すぐにお兄さんから手を離して解放してやった。
ガン助が鼻に
「こうなりゃ、この女だけでもいただいてくぜ!」
もう一人のお兄さんが、わたしの右腕を強引に引っ張ってきた。
わたしは
おそらく、大ハンマーで思い切り
「ぎゃあああ!」
ちょっと
二人のチンピラお兄さんは、商売道具のボロ布包みを放置したまま、つんのめりながら走り去って行った。
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