第五章 15 一種異様に神々しくもあった。
ひとまず
わたしの怪我は局長の
その
治療が終わるのを待ち
「ワグツチの娘、サキ、我の息子助けた。ありがとう。ありがとう」
コタンシュさんはわたしの手を握り、肩が外れそうなほど力強く上下に振った。
何はともあれ良かった、真夜中にこの奇岩群の中からアジトを
……さて、問題はベルウッドさんの怪我の方。
ベルウッドさんの顔色が
しかも、局長が全力集中で
何かがおかしい。
「毒針? でも、それにしては毒性が
ようやく抜けた二本の赤い針を手に取り、局長は
「死ぬほどのもんではないだろ」
なぜかベルウッドさん本人は
「紗希にも刺さる可能性があったんだ。そんな危険な
そういう
言われてみれば、わたしを殺すチャンスは何度もあったはずだが、ナヒトはそこまでには
でも、わたしにはノエル先輩がいるのだ! あんな狂信男になびくつもりはさらさらない!
「これ、まさか
わたしは話題のすり替えも兼ねて述べる。
「まったく……ふざけた武器を作るものね。気分はどう?」
「
「……で、紗希。あの中で
さすが局長。ベルウッドさんのエロ
しかし不安は残る。この針は妖狐血晶で間違いないだろう。わたし達にとってはただでさえ迷惑な性質を持つこの鉱石が、血液中に直接入ったとなれば、ベルウッドさんはもう
「はい。見ました。原体のある頭部に軍曹の一撃が入ったからバラけたとかで、あの時より小振りになった紅衣貌が研究施設に……」
そこで、わたしの説明は
落雷のような爆音によって。
見ると、アジトのある奇岩の
やおら、そこから長いシルエットがうねり
その様は実に
まさか、ナヒトが言っていたように、本当に神様が
「……あれがそうね」
局長が
あの研究チームは何をしているのだろう? まさか突然暴れ出したあの猿顔大蛇に対処できなくなってしまったとか?
ぶおおおおん、と、
まだ距離があるが、蒸気機関車のような息遣いをはっきりと感じ取れた。
「コタンシュさん」
局長はコタンシュさん父子を振り返った。
「あの化物は我々が退治します。村の方達にも呼び掛けて、皆さんでここからできるだけ遠くへ逃げてください」
「ちょっと待った」
横からベルウッドさんが割って入る。
「コタンシュさんは弓の名手だ。かなりの戦力になるだろ」
「それは駄目」
局長はぴしゃりと言い放った。
「練識功の保持者ではない人間を戦闘に参加させるのがどれだけ危険か分かる? 無駄な
そう言えば、軍曹が話していたっけ。昔、軍隊上りの
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