第五章 16 もう絶望的である。
それに何より、幼いションタクも一緒なのだ。やはりこの場に
コタンシュさんは奇岩を
「我、また来る!」
言うなり、ションタクを
その姿はすぐに夜の森の
また来るって……来ない方が良い。紅衣貌にかかれば、それこそ
わたし達とて、どうなるか分からない。これまでの紅衣貌とは一味も何味も違う個体なのだから。わたしが
あの時より少し小さくなったとはいえ、
さすがは血肉と負の思念を
「紗希、原体は頭部で間違いないのね?」
「はい、ナヒトがそう言っていました」
答えてから、ふと思った。
ナヒトはどこへ行ったのだろう? 心配はしていないが、絶妙なタイミングで現れて、邪魔でもされたら面倒だという
「じゃあ、頭を
「……だけでもないみたいです」
ノエル先輩が周囲を見回し、深刻そうな声を漏らす。
なんと、そこら中に複数の
先程、猿顔大蛇が発した
コタンシュさん達、無事だといいな。
「
そして、局長は大蛇型紅衣貌へと
わたし達も続いた。後方にベルウッドさんが、左方にノエル先輩が、そして右方にわたしが付き、
この雑魚紅衣貌達、狐魑魅渓谷のアジトからこのヌプルゥシケ自治区に出てきた
局長が突撃に専念できるように、わたし達は襲い来る紅衣貌達をとにかく斬りまくった。
なるほど。確かにナヒトの
けれども、たとえ局長が大蛇型紅衣貌の原体を破壊しても、大蛇型を
いや、そんな心配はやめよう。絶対やれる! おにぎり七個も食べたんだから!
数こそ多いが動きは単純なので、冷静に見
いよいよ、大蛇型紅衣貌がすぐ
局長は練識功の剣を生み出し、上体を低くする。
さすが局長。完璧な
パアン! と乾いた音。
わたし達が、それが何の音かを認識する前に、局長は短く
猿顔大蛇が大口を開け、何本もの短剣のような
上半身のほとんどが口の中に入ってる!
だが、次から次へと襲い来る
大蛇が金属的な奇声を上げて頭を振り、局長を横へとぶん投げた。
練識功の剣で口の中を斬り付けられたためだろう。
投げられた局長は奇岩に激突して、雪と
そこから局長が出てくる気配はない。
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