第五章 14 所詮はまがい物。
「可愛がるも何も、あなたに水を差されたお陰でお預けですよ」
「そいつは良かった。こんな
おい、オッサン。それは聞き捨てならないぞ。一体、どっちの味方なんだっつーの?
「まるで、彼女の体を知り尽くしているような口振りですね」
「全身
事実には違いないが、誤解である。ナヒトなんかにどう思われようと構わないのだが、
「あの金髪の若者といい仲だとお見受けしておりましたが……」
いーの。そっちが正しいの。
わたし達と違い、まがい物であるこの兄ちゃんは、エネルギー塊を生み出すほどの能力はないようだ。避難小屋でも
元々の戦闘能力はかなり高いようだが、
……とか
「俺の見立て通り、お前は女に嫌われる……いや、人に嫌われるな。友達いないだろ」
「好かれるかどうかなんて重要ではありません。
「とんだ性悪野郎だ。お前に紗希は渡さん」
このオッサン、なんで彼氏面してんの?
ベルウッドさんは練識功の剣を生み出す。
対して、ナヒトはナイフ二本のみ。どちらが優勢かは言うまでもない。
ベルウッドさんは二段飛ばしに階段を
ナヒトもこれまた人間離れした速さで
そして、わたしを思い切り突き飛ばした。
ベルウッドさんは反射的に練識功の剣を消し、わたしを受け止めてたたらを踏んだ。
同時に、ナヒトの手から何か赤く
ベルウッドさんは
それから一秒も経たぬうち、ナヒトの姿は煙の向こうへと疾走し、すぐに見えなくなった。なんという逃げ足の速さ。
もっとも、今回はベルウッドさんから逃げただけではなく、火災現場から避難したのだろう。わたしを人質にしてみても、速さでベルウッドさんには
ところで、ベルウッドさんの背中に赤く細長い物体が二本突き立っているが大丈夫だろうか? 大きさはボールペンほどで、ちょっと深く刺さっているようだが……?
「とにかく
言うなり、ベルウッドさんはわたしを
局長はおそらく暗がりを想定して、ベルウッドさんを来させたのだろう。煙で視界不良なので、いずれにしても良かった。
「あの……ベルウッドさん」
わたしはためらいがちに
「どうした? 苦しいのか? 人工呼吸でもするか?」
息苦しいけど、それよりは一酸化炭素中毒死を選びます。
「そうじゃなくて……すみません。その……弱くて役立たずで……おまけにまた盾になってくれて……」
「そうでもないだろ。人質の子供を逃がしただけでもお
それよりは、やっぱり一酸化炭素中毒死を選びます。
やがて行く手に
「ルーサー、紗希、無事なの⁉」
階上から局長の声。
あれ?……ってことは、ナヒトは局長達と
「何とかな。紗希も、一緒だ。外に出た、方がいい」
答えたベルウッドさんの息切れが激しい。煙の中、わたしを抱えて急階段を駆け上がってきたのだから無理もないが。
やっと階上に到着。
局長とノエル先輩と、それにションタクを抱っこしたコタンシュさんもいる。
ションタクの顔、キレイに治っている。こんなにカワイイ顔だったんだ。
ホッとしたのも束の間、わたしを下ろすなり、ベルウッドさんがいきなりその場に
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