第二章 11 ひとまず深呼吸をしてみてください。
「
「うーん……。
「やはり修行を続けることで、徐々に気付き慣れてゆくのだと思います。拙僧は五歳の頃から武術を始め、現在の実力に
君達は突然練識功という
なんて分かりやすくて説得力があるんだろう。奏哲和尚の御姿が
「紗希さん、君はまだ若いですし、自分と他人を比べて
まさに神様仏様の
「でもな紗希、褒め過ぎるなよ。調子に乗るといけないからな」
ベルウッドさんが水を差す。
このオッサンは……! せっかく人が有難い御言葉に胸を打たれているというのに。
まあそれはそうと、わたしにはもう一つ悩みがある。
「あと、奏哲和尚。もう一つ聞きたいことがあります」
とりあえずこの莫迦オヤジは
「恐かったり驚いたりすると、どうしても体が
「あ~なるほど……」
奏哲和尚は
「基本的に恐怖を
いや……ありませんって言われても……。
「恐怖とは危険回避のためには必要な反応ですからね。感情の
「深呼吸……ですか?」
知られざる秘伝を期待していたわたしは、
「できれば
「
言われた通り、わたしは胡坐をかいて目を閉じる。
「お
最初は腹式呼吸そのものがなかなか上手く行かなかったが、五、六回目にはできるようになった。
それから何度か呼吸を続けるうち、全身がほんのり温かくなってきた。心臓の
「ではゆっくりと目を開けてください」
数分後、奏哲和尚が
「いかがでしたか?」
「体が温かくなりました。すっきりして何だか不思議な気分です」
「それは良いことです。
練識功を与えられたあの時の爽快感にも似た感覚だった。
こんな素晴らしいお坊さんに
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