エピローグ 7 うわっ、なんか嫌な予感。
「あー……ええと、とりあえず、僕は席を外すことに……」
「いいからいてください」
ベルウッドさんが
「悪いけど、わたし帰らないから。パパの言いなりになってたらストレスで病気になりそうだし」
「まあ……無理に連れ戻す気はない」
パパはほんの少しばつが悪そうに答えた。
あれれ? こんなにもあっさりと折れちゃった。
どんな手段を使ってでもしつこく喰い下がってくるであろうことを覚悟していたわたしは、かなり
局長と、特に軍曹、一体全体、この
「雄介と違って、お前には夢中になれるものが何もなかった。だから、せめて英才教育を受けさせてやろうと思ったんだ。でも、神楽坂局長と将方さんが言うように、お前がここでアンブローズの仕事を頑張っているなら、それでいい。だが
うわっ、なんか嫌な予感。
「高校はちゃんと卒業するんだ」
「いやだ」
反射的に即答するわたし。
「じゃあ……あとはお二人で相談して……」
「いいから座っていなさい」
またまた立ち上がりかけたベルウッドさんだが、パパに
「そもそも、勉強漬けが嫌だから家を出たのに、なんでここまで来てまた学校に行かなきゃいけないわけ?」
「
そこまで聞いて、わたしはピンと来た。
局長と軍曹はパパを完全に説得したわけではない。いかなる形であれ、わたしがアンブローズで仕事を続けられるように
いや、今になって思えば、きっと軍曹から打ち明けるつもりだったのだろう。しかし、
結局、話せずじまいになってしまったのだ。
「あの……僕はお茶でも入れて……」
『いいから!』
パパとわたしの声がハモり、ベルウッドさんを強制的に
「わたし、何も聞いていないんだけど?」
「そんなはずはない。神楽坂局長も
百パーセント、あんただって。
でも、聞いていないのは事実である。軍曹とてチャンスはあったが話しそびれてしまったのだから。
「君はどう思う、ルーサー君?」
「ゑっ⁉ 僕ですか⁉」
予告なしに振られ、それまで身の置き場にあぐねていたベルウッドさんは裏返った奇声を発す。
「紗希とは
「べ、別に、そういう仲じゃ……っ!」
「紗希、お前は
誤解を解きたいだけだって。話を聞かないのは父親
何より、このオッサンがパパを説得できるほど
「……ああ、はい、そうですね」
ベルウッドさんはそこで額の冷や汗を
「お
賛同するな! それにあんたのお義父さんじゃないだろ。
「ですが、お義父さん。過ぎるのは
あれ? なんか記憶に新しい
このオッサン、さも自分の意見のようにほざきやがって。しかもさっきから、お義父さんお義父さんって当然のように呼んでるし。
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