第一章 9 ―――もう耐え切れない。
青緑色の人物のこと、とても爽やかな風のこと、その時、物凄く幸せを感じたこと。
しかし、パパは嫌悪感も
この人には理解してもらえない。
ママはわたしと弟を生んで間もなく亡くなった。
双子の兄弟
それから、わたしは自分の不思議な力を意識することなく、ほとんど忘れたまま日常生活を送り、時は過ぎて行った。
一体どこからどのように知識を得ていたのか、雄介は
ヲタクでないわたしも、時々新聞やラジオで見聞きしていたので、アンブローズの存在だけは知っていたが、まだその頃は自分とは
ひょっとしたら理解者になってくれたかもしれない雄介だが、残念ながら今年の春に死んでしまったので、今となっては本当のところは分からない。
遺体が発見された場所が、自宅からずいぶん
いつものように超常現象研究の目的で、そんな山中に
それからというもの、家にいるのがますます息苦しくなった。
数学者であり大学教授のパパから、二人分の期待がわたしに
元々、学校の成績は良くも悪くもない中間だったが、今まで通りの成績ではパパからなじられるようになった。
戦時中を思えば、今こんなに学業に
―――もう
雄介が死んでから約半年後、夏休みも残り少なくなった頃、わたしは実家を飛び出して、雄介から聞いていたアンブローズの情報を
目の前にはベルウッドさんの姿。
……って、なんでわたしの寝室に入って来てる⁉
「わっ! ちょっと何です⁉ まさか
「何を
「え?」
わたしは起き上がり、辺りを見回す。
リビングのソファの上だ。窓の外も明るい。
まあ、本気で夜這うつもりなら、デコピンなんかしないか。
向かいのソファには茶色い
美味しそうな
ドSのくせに、妙に気を
なかなか朝起きられないわたしは、朝食を作ることが
変な夢を見たせいか、
わたしは
寝ても覚めても超常現象に夢中だった雄介は
それほど超常現象に興味もなかったわたしに、なぜ
もう一度、あの青緑色の人物に会うことができたら
家出をしたのは正しい選択だったと信じている。あの地獄のような環境から
今この
こんな所で危険な仕事に
今となっては、あの人のことはどうでも良いはずだが、でも少しは想いを
ただ逃げてきただけではないかと言われれば反論はできないが、逃げた先で結構
「おい、こら」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます