第五章 10 今しかない! やって見せる!
ションタクは叫ばなくはなったが、揺れる
「この
わたしはナヒトを突き飛ばそうとしたが、
痛い。折れてしまいそう。
「そんなに騒がないでください。言葉の通じない野蛮人を言い聞かせるにはこれが一番手っ取り早いんですから」
ナヒトはわたしの右腕を掴んだまま、背後から体を
「もう彼は用済みです。人質は一人いれば十分ですから、あなたの身の振り方
いちいち耳元で
ナヒトはわたしの手を離すと、ションタクの両手を吊るしていた
ションタクの体が突然落ち、短い悲鳴が上がった。
わたしはションタクに駆け寄って抱き起こし、その顔を見てギョッとした。
薄暗いため、こうして
ビンタ一発でここまで
子供は無傷で解放します、とか、どの口でほざいているのか?
それに、ションタクの両手首には鉄輪が喰い込んだ
右足を押さえているところを見ると、落ちた
「人質の無事も確認できたことですし、研究室に戻りましょう」
無事、とかいけしゃあしゃあとよく言えたものだ。
わたしは無言でションタクを抱え上げた。
何とかして、脱出するきっかけを作りたいところだが、ナヒトは
もしくは、
例によって例の
わたしは今さらながら思い出した。
ここは
体力の回復も十分ではない今のわたしでは、大したエネルギー弾は作れないが、形状や殺傷能力に
わたしに続き、ナヒトもこちらへ出てこようとしていた。
今しかない! やって見せる! おにぎり七個も食べたんだから!
わたしは左腕にションタクを抱えたまま、右手に練識功のエネルギー塊を生み出し様、ナヒト目掛けてぶん投げた。
バアン! とドアが
もっと本格的で
それ見たことか。わたしを何の経験もない能無しスカポン小娘だと
だが、階段を下りようとしたところで、偶然にも、下から三十人ぐらいの信者達がぞろぞろと上って来るのが見えた。
武器はナイフ一本。子供を抱きかかえながら、これだけの人数を
仕方なく反対方向、つまり上へ走る。
もちろん分かっていた。上へ逃げるのは
それでも今は選択の
疲労も
チラリと下を振り返れば、ナヒトを先頭に複数の追手が走って来るのが見えた。
あああ、もう仕方がない! やはり上へ逃げるしかないのだ。
必死に
奇岩の形からも分かるように、ここはかなり縦長の施設のようだ。上っても上っても
元々薄暗い城内だが、上へ行くに従って、
やっとのことで先に
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