第五章 8 もはや外道畜生。
ドアの中は一般的な教室よりもやや広い、岩を
入ってすぐ左手前には、休憩用と思われるテーブルと椅子がある。
右奥には作業用の机と椅子が三人分あり、左奥にはかなり大きめの頑丈そうな
檻の中では
彼らはわたし達に気付き、一瞬だけ振り返ったが、またすぐに赤い塊に向き戻った。
ここも研究施設のようだが、
もしかして、ここが第二研究室? だとしたら、あの案内プレート、ずいぶん
ナヒトは
いちいち無駄に触れてこないでほしい。
「ここからが本題です。我々は今からあなたの
もはや
ナヒトは奥にいる三人の白衣姿の若者を
「大丈夫です。彼らは科学者であり、優秀な外科医でもあります。あなたの神経細胞は一切傷付けないとお約束します」
わたしはナヒトを
「二年前はまだそこまでの発想はありませんでしたが、新奇器官は未知で強大な力の根源とも呼べる器官です。どのような変異が起きるのか我々にも予測できませんが、少なくとも、今度は簡単にバラバラにはならないと思います」
病気でもないのに、何の心の準備もなく、いきなり『今からあなたの臓器を摘出します』とか笑顔で言われて、誰が『はい、分かりました』とか
「その前に……」
わたしは肩からナヒトの腕を取っ払った。
「人質の子供は?」
こちらの本題は人質救出である。まずは無事を確認しなくては。
いみじくも、ナヒトが個人的にわたしを気に入っているなら、無用な危害は加えてこないはず。色仕掛けとまでは行かなくても、この
案の定、ナヒトはそれほど気を悪くした
ああ、もう嫌だ。
「そうでしたね。忘れておりました。もちろん無事ですよ。ご案内します」
何が『忘れておりました』なんだ? 明らかにスっ
研究室を出て、再び階段を上り始めた。
もう、どれだけ階段を上り下りすればいいんだろう? 疲労の残る体には
「あれは終戦間近のことです。私は当時七歳でした」
ナヒトがまたいきなり語り出す。今度は何を話すのやら……?
「ある晩、突然シラールスタン兵が我が家に押し入ってきました。父親は殺され、母親と姉は何人もの兵士に暴行を受けた
まったくこの兄ちゃんは、訊いてもいないのに、一人で勝手に自分の生い立ちをペラペラと
「私だけではありません。
「
もちろん、アポカリプスの教祖がご立派だなどとは
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