第四章 6 意識が飛んでいてもおかしくない容態で……。
「おっと、もう抵抗はやめてください。あなたのこと、個人的に気に入りました。これ以上傷付けたくはありませんので」
世にも
こんな狂信野郎に好かれるぐらいなら、ベルウッドさんに十時間のぶっ通しジョリジョリ攻撃を毎日された方がマシである。
……やっぱり
そもそもこの絶体絶命の状況下で、あのオッサンのことを思い浮かべるなんて、今のわたしは救いようのないほど
「調子に乗るなよ、この若造」
軍曹が
立ち上がれる状態ではないはず。ただでさえ出血が酷いというのに、動いたらそれこそ血が噴き出してしまうのではなかろうか。
さすがのナヒトも驚いたようで、小さく
軍曹が
意識が飛んでいてもおかしくない
ナヒトの反射神経もまた人間離れしており、瞬時に拳銃から両手ナイフに持ち替え、軍曹の横払いを弾き退けた。
無傷で体力の消耗がない分、ナヒトの方が数段有利であることは
いやしかし、軍曹の
一体全体、何が軍曹の体をこれほどまでに
案の
その
両者の体捌きが、
仮に今のわたしが万全な状態であっても、入り込んだら一秒で血祭りにあげられてしまいそうだ。
「さすがです、軍曹殿! それほどの重傷で、まだこんな力が出せるとは!」
この兄ちゃん、喋る余裕すらあるんかい。
「あのお美しい局長のためですか? 分かりますよ。私も男ですから」
もう黙れっつーの!
それに、もう軍曹もこれ以上頑張らないでほしい。苦痛が増すばかりだ。このままでは失血死してしまう。
「魅力的な方です。十年もご一緒できたなんて
その
たぶん、
軍曹は首に目掛けて振られてきたナイフを歯で噛み止め、左脇、
さすがに想定外だったらしく、驚いたナヒトは目を見開いた。
同時に、軍曹は脾臓に刺さったナイフをナヒトの右手ごと抑え込み、ナイフを噛み押さえたままニヤッと笑った。
軍曹の左手には小さな青緑色の光球。
それは
ナヒトは軍曹の体を蹴り、二本のナイフを離してのけ
その鼻先を、軍曹の放った光球が
速過ぎて、もうわたしには何が何だか分からない。
ただ一つ言えるのは、軍曹がなけなしの
また激しく
「お見事です、軍曹殿。やはりあなたが
相変わらずのお喋り野郎。だが、その言葉には本心からの尊敬の念が感じられた。
「敬意を表して、これ以上苦しまれないように
カイシャク⁉ この兄ちゃん、
ナヒトは拳銃を軍曹の頭に向けた。
「御神体に
つくづく
軍曹はまた吐血し、そしてやっとのことで上半身を起こした。
「じゃあ、一つだけ伝えてくれ」
「俺の代わりに……貴様をぶちのめしてくれってな」
「色気がありませんね。もっと
当てが外れたナヒトはつまらなそうに
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