第二章 9 始めからグルだったのだ!
怒りが収まらず、わたしはしばらく口を閉じて
体の痛みはかなり引いて呼吸も楽になり、こうして
それはいいとして、問題はこの二人!
始めからグルだったのだ!
「紗希さん、そろそろ機嫌を直していただけませんか? 若い女性が来たので、
先程の
奏哲和尚はこのお寺『妙陽寺』のお坊さんで、ベルウッドさんが子供の時から武術を教えているとのこと。
わたしは
「ほら、もう怒るな。大福やるから」
開けた菓子折りの中からベルウッドさんが
「大福一つで機嫌が直ると思ってるんですか?」
「じゃあ、もう一つやるよ」
「個数の問題じゃないです!」
わたしはベルウッドさんの手から大福を取り上げ、
「何だかんだ言って、結局食べるのか」
ベルウッドさんは軽く突っ込みを入れ、お茶を飲んだ。
まあ冷静に思い返せば、あれが小芝居だと気付く要素はあった。
ベルウッドさんが
「教会の次はお寺。ベルウッドさん、一体何を信じてるんです?」
わたしは腹立ち
「神も仏も信じてるさ。どっちも正しいんだ」
「まさしくその通りです。出発点は
わたしの頭が悪いのだろうか? この二人の言っていることがイマイチ理解できない。
「別に分からなくていいぞ。入信させるためにお前さんを連れてきたわけじゃないしな」
なんか、莫迦にされているみたいでムカつく。
「それでは、紗希さんにせっかく来ていただきましたし、お
奏哲和尚はカラカラと笑いながら、わたしの内心を
そりゃそうだ。もしも町の中であんな格好の人間を目撃したら、わたしは即
「お教えって……何をです?」
「おいおい紗希、お前さん、奏哲和尚に吹っ飛ばされておいて、何も疑問に思わないのか?」
「疑問?」
わたしは首を
ベルウッドさんは
「お前さんがここまで
むかっ
「どーせわたしは鈍い莫迦娘ですよ。考えても考えなくても分からないんですから」
当然のようなベルウッドさんの物言いに、わたしは怒り
「そんなのパパに何百回も言われて自覚してます! なんならパパが言うように、わたしの頭を割ってどんな脳味噌か調べたらどうです⁉」
パパにさんざん言われたように、わたしは生まれつき出来が悪いのだ。だから勉強に限らず、何をやっても上手く行かないのだ。
「莫迦で鈍くさくて、皆の足を引っ張ってばかりで、きっとアンブローズの仕事も向いてないんです!」
「紗希、悪かった。怒るなって。何もそんなつもりで言ったわけじゃ……」
「だから皆が簡単にできることも分かることも、わたしには全っ然できないんです!」
思い出すほど、口にするほど、わたしの中で嫌悪感が
自分にも周りにも失望し、
もう嫌だ。どうしてわたしはこんなに使えない役立たずなんだろう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます