第五章 2 足音が近付いてくる。
【⚠ このエピソードには残酷描写があります ⚠】
角の生えた熊のような
動きが単純なだけに、注意して見ていれば対処できる。ナヒトのような予測不能な体
ノエル先輩も何やら巨大毛虫みたいな紅衣貌を叩き斬ったところだった。
様々な複数の思念の寄せ集めなので当然なのだが、今回の紅衣貌達は特にバラエティ豊かな
そう感じる余裕が少しはあるほど、わたしの体は
次に近付いてきたのが完全な人型紅衣貌。ただ深紅色というだけで、姿形は人間と一緒。
見るも奇怪な怪物なら
戦闘中の一瞬の迷いは命取りになり得る。わたしの太刀は無意識に
いけない!
危険を感じたその
「一つ借りだ。チャーシュー
ンなご
この寒さの中、突然ラーメンの話をされて、今すぐ食べたくなってきた。
「ガキンチョにっ、たからないでください!」
わたしは反論を
局長もベルウッドさんも炸裂弾を止め、剣を振っている。賢明な切り替えだった。エネルギー弾の使い過ぎは体力も精神力も消耗するのだから。
先の戦いの疲労が残っているわたしは、さすがにちょっと疲れてきた。
でも、もう少し。頑張ろう! おにぎり七個も食べたんだから!
わたしは奥歯を噛み
と、その時、前方(わたし達が進んでいた方向)から飛んできた三本の細長い物が、紅衣貌達に突き刺さった。
矢だった。一体誰が?
それを皮切りに、続けざまにビュンビュンと何本もの矢が暗闇から現れる。
無駄撃ちはない。わたし達には一本も当たることなく、全てが正確に紅衣貌達の体を貫いてゆく。
矢を撃っているのは複数人のようだ。それも、かなり腕の良い弓の使い手と見た。
あれよあれよという間に、紅衣貌達は一体残らず
何者の
けれども、今ここにいる人間は、その信者以外にはいないはず。
足音が近付いてくる。
わたし達は剣を構えた。
やがて、動物の毛皮を着た風変わりな格好の男性が現れた。弓に矢を三本も
……って、まさか三本同時に撃てる? つまり、矢を放っていたのは複数人ではなく一人?
それよりどういうことだろう? 助けておいて、この敵意はないだろうに。
男性はかなり荒い口調で何か
全然理解できない。何語?
いずれにしろ、矢を向けられているとなれば、多少怪我をさせてでも
しかしどうしたことか、局長は持っていた剣を
「きっと警戒してるだけよ。全員剣をしまって」
局長命令である。わたし達も剣を収めた。
すると、男性はまだ
だが、また大声で何かを
「……あ……」
ノエル先輩が思い出したように小さく声を上げると、一歩踏み出した。
片言で、たどたどしく、ゆっくりと、意味不明の発音を
男性は目を見開き、ノエル先輩を見返した。
驚いたのはわたし達も同じ。
ノエル先輩、何て言ったのかな? 少なくとも、
「お前、ニウアの言葉、知ってる、なぜ?」
男性が今度はわたし達の理解できる言葉を話した。
なんと、ニウア族だったのだ。
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