第18話おやつ

「食うな、とは言ってへんねん。京子ちゃんの場合は極端やねん」


私の楽しみであったおやつを制限されてどれほど経ったろうか。健康的になり、スルスルと体重も落ち、身体は軽くなった。しかし私はおやつを食べたかった。


「あんな、自分一旦食べ始めたら止まらんやろ」


それはそうだ。大好きなのだから。


「ストイックになれへんかったらあかんよ」


オッサンの監視によっておやつは食べれていない。ねぇ、ちょっとだけ良いでしょ?


「あかんで、とは言えへんがな。京子ちゃん今まで頑張って来たから」


オッサンが珍しく折れた。


「好きなおやつで良いけど一品のみ。それ以上はまけられんで」


私の目の前には板チョコがある。ジムの帰りに買ったものだ。


「しっかり味わってな。そうそう食べられへんから」


チョコレートを食べると快感度はキスの4倍だと言う、チョコレート。

いただきます。カカオと甘さが脳に走る。美味しい!


「まあそりゃ美味いで。たまに食べるから美味しいんやで」


そうだ。今までの私は思う様食べ散らかしてきた。ブクブクと太った。またあの生活に戻りたい?いいや、戻りたくない。


「そうやで、その気持ち、大切にせんとあかん」


オッサンは真剣である。怒りそうな勢いである。


「生活習慣はそうそう変えられへん。ましてや食生活は難しいんや」


乱れた食生活は乱れた生活に直結する。そのことはよくわかってる。


「一番変わらんなあかんのは食生活やねん。それでいて難しい」


オッサンは私をさとすように話しかけている。


「これからは決まり事を決めようや」


オッサンと話し合いの結果、週に1回、一品のみおやつはOKということに話は決まった。


「子供や無いんやからこんな決め事もやらんでええねんけど、京子ちゃんは特別やで」


オッサンはそう言って私から。私はチョコレートをちびり、ちびりと味わっている。

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