第35話部活見学 その1
新子さん、部活何するの?
「いえ、まだ決めてないけどしんどいのは嫌だな」
なるほどねえ。ちょっと覗きに行かない?
「見学するだけだよ」
新子さんは見学を強調した。もはや私に罠に掛かっているとも思わず。
「こんにちは!」
入ると汗の匂いが鼻を突いた。
「なんだ、デカいから男だと思ったけど女かよ」
後で必ずマットに沈ませてやるから。
「先生、女子の見学希望者です」
呼ばれた顧問の先生は若い。
「君、デカいね。そして経験者だ」
一目見て私を見抜いた。なかなか鋭い男だ。
「何処のジムだい」
木下ボクシングジムでお世話になっています。
「なるほど、木下さんのジム、女の子多いよな」
はい、良く指導を受けています。
「うちは厳しいよ、できるかい?」
頑張ります。
「じゃあ入部届出して。明日から来ても良いよ」
ありがとうございます。
「そっちの子も入部希望者?」
いえ、私は付き添いです。
「マネージャー居るんだけど手が届かないんだよね」
もし良かったらマネージャー応募しているから、よろしく。
「時間があるなら見学しても良いよ」
ありがとうございます。掛け持ちしたいクラブがあるのでそっちへ見学へ行きます。
「何?ボクシングと掛け持ち?正気かい」
では失礼します。
「綾小路さん」
京子で良いよ。
「京子ちゃん、まさか運動部の掛け持ちをするつもりなの?」
うん、そうだよ。
「心配で帰れないよ」
じゃあ最後まで付き合って。
私は部活動勧誘の掲示板を探した。あった。レスリング部と柔道部。桐生学園でも屈指の強豪校だ。まずはレスリング部にしよう。
新子さんがついてくる。彼女には苦労させてはいけない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます