第34話入学式

桜が咲き乱れ、散っている。ベントレーから降りた私はブレザーにスカートだ。

ありがとう、五十嵐、帰りは電車で帰るわ。


「はい、かしこまりました」


マンモス校だけあって、生徒も多い。私は席の番号を見つけて早々に座った。続々と新入生が入って来る。何だかぎこちなさそう。いつしか私の周囲も新入生で満席になった。退屈な挨拶と祝辞。2時間もすれば良いだろう。


「それでは新入生の皆さん、各教室に入室してください」


私は用紙を見た。1-Aと書いてある。早速行ってみる事にした。教室は1階の1番奥にあった。私は引き戸を開いて中に入る。


「こんにちは」


女の子が声を掛けてきた。私もこんにちは、と返事をした。席に名札が置いてある。綾小路京子。その女の子の隣だった。隣だね、よろしく。


「綾小路さん、よろしくね。私は新子あたらしケイと言います」


誰も来ないので二人で雑談をした。新子さんが低い声でささやいた。


「A、B、Cって分かれてるじゃないですか。あれって入試の成績が良かった人から先に振り分けられるそうですよ」


なるほど、それじゃあ私達は成績優秀者か。


「ホームルームで何か発表されると思うの」


まあ黙ってても別に問題無いよ。


「そうだと良いんだけど」


クラスに続々と人が入って来る。私と新子は喧騒に紛れ込んだ。


先生が入って来た。女性教師だ。面白そうだと思った。


「入学おめでとう、皆さん。このA組の由来は入学試験の成績上位者で構成されています。もちろん、1学年でも成績優秀者の者は2年でもA組になります」


なるほどね、そう言う訳か。じゃあEとかとんでもないな。


「それでは皆さん、自己紹介をお願いします」


前から順に呼ばれ、自己紹介をしていく。自分の番になった。私は立ち上がり名乗った。


「綾小路京子です。16宜しくお願いします」


座った。デカイな、綾小路って確か泉財閥の綾小路じゃないか?教室が騒然となる。


「皆さん静かに。自己紹介が終わっていません」


先生が圧をかけて言った。静寂が教室に広がった。

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