第33話合格発表

合格発表は家でパソコンで見た。家庭教師の羽生さんも一緒である。

時間が来たらリロードして調べた。私の番号が有った。合格である。羽生さんがホロリと涙を流した。


「短期間で良くここまで勉強出来るようになったね。京子ちゃん、おめでとう!」


父親が部屋に飛び込んで来た。


「京子、合格おめでとう。今日はめでたい日だ!」


私にも喜んでくれる人が居る。


「そうやで。京子ちゃんは一人やないで。みんな京子ちゃんの味方やで」


オッサンはそう言って、


「喜ぶのはここまで。これからが本当の試練やで」


ボクシング、柔道、レスリング、勉強でしょ?


「そうやで。これからはもっと厳しい毎日になるで」


でも部活を三つも掛け持ちなんて可能だろうか?


「不可能を可能にするんが神様の仕事やで」


私の合格祝いは家族が揃ってくれた。


「京子、お前ちょっと痩せすぎじゃないか?ちゃんと食べてるか」


これが苦労の結晶だよと答えた。


「まあ引きこもりから脱出したんだ。それだけでも凄い事だ」


父親はこうなるものだろうか。世のお父さんに聞いて回りたいものだ。


「それで部活はするのか?費用はお父さんが出してあげよう」


そう?じゃあボクシング、レスリング、柔道の準備が必要なの。


「それだけするのかい?体が持つかね?」


神様が言うには乗り越えられるらしいよ。


「男に二言は無い。お父さんに全て任せなさい」


頼もしい父親である。その前に制服の試着が有るから、お金もっと掛かるよ。


「なんのそれしき。我が家でオーダーすれば良いじゃないか」


いや、それはやり過ぎ。みんなと同じで良いから。


今日の食卓は明るい。いつもこうだったら良いのに。ただ、あからさまに不機嫌なのは母親だった。女の子らしい子供が欲しかったようである。


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