第72話古沢さんの執念

昼休みに隣のクラスから古沢さんが来るようになった。クラスメイトで他愛も無いお喋りをするんだが、気が付くと何故か古沢さんが隣に居る。


「京子ちゃん、例のものはいつ使うの?」


例のもの?何だっけ?


「京子ちゃん、酷い!この前の何でも使える券だよ」


ああ、そういや貰ったっけ。どこかにしまってあるはず。


「いつ使うの?」


面倒くさいので肩叩きで勘弁してもらおう。古沢さんは大喜びで肩叩きをする。


「すごい筋肉だね」


トントンと叩いていたのが何時の間にかマッサージになっている。


「素晴らしい僧帽筋そうぼうきん


なんか手つきが怪しくなってきた。もう大丈夫、ありがとう、大分楽になったよ。


「今日は券無しの私の無料サービス。だからあの券を出すまで無料のサービス」


「ちょっと古沢さん、強引じゃない?」


新子さんが口をはさんだ。古沢さんの横暴に耐えれなくなったんだろう。


「あら新子さん、焼き餅?」


「マッサージなら私の方が上手いわよ。古沢さんより


ああ、なんか気まずい雰囲気だ。どうしよう。まあまあ、落ち着いて。2人火花を散らしている。


「まあまあ二人とも落ち着いて。私は嬉しいよ」


こんな時どうしたら良い?オッサン。


「こうなったらおしまいやね。京子ちゃんがどっちか取るまで終わらんね」


良い所でチャイムが鳴った。古沢さんは悔しそうに教室を去る。新子さんは平然としている。


「京子ちゃんに悪い虫がつかないようにするのもトレーナーとしての私の仕事」


新子さん、怖いよ。

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