第169話進路希望

「ところで京子ちゃん、聞きたい事あんねんけど」


オッサンが言った。何?


「京子ちゃんももうすぐ高校2年生。そろそろ進路も考えんなあかんとちゃう?」


それはそうだ。そろそろ考えないといけない。学校でもそろそろそんな話が出てきてもおかしくない。


「なあ京子ちゃん、京子ちゃんには使命というのが神様から与えられてんねん」


それは何?


「京子ちゃんには人を救う運命にあるんや」


私は医師を目指す事を決めている。それではいけないのだろうか?


「じゃあ神様に医師になるって伝えるで。ええねんな?」


良いよ。私が決めた道だ。医師になってみせる。無性に私は強くそう思った。もっと勉強を頑張らねばならない。部活動も手を抜かず、勉強に励む。改めて自分の意思を明確にさせた。兄には到底なれないが、私なりに出来る道があるはずだ。しばらくするとオッサンが声を掛けてきた。


「神様も喜んでたで。京子ちゃん、勉強、頑張ってな!」


いったいこのオッサンの本性は何者だろうか?神と関係を持つと言う謎の人物。


「まあ俺の正体なんか知っても仕方ないやんか。おいおい話していくから」


今まで何回かこう言ったやり取りをしてきたが、はぐらかされて終わりだ。ただ、それ以上追及しても上手くごまかされるからどうしようもない。もうすぐ3学期も終わり、春休みだ。2年生、大切だ。家庭教師の羽生さんに大学受験対策にしてもらうように頼んだ。


「京子ちゃん、わかりました。ちょっと厳しくなるよ。でも京子ちゃんの成績なら国立医学部は狙える成績だよ」


羽生さんは励ましてくれた。俄然がぜん私は勉強に頑張るだけだ。私は狙った獲物は逃さない。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る