第170話クラス替え

クラス替えがあった。幸運にも新子さんと田野君と一緒のクラスになった。しかし頭の痛いクラスメートも居た。古沢さんだ。


「京子ちゃん!」


古沢さんが抱き着いてきた。もうこうなったら逃げれない。


「京子ちゃん、進路はどうするの?」


国立の医学部。


「やだ、私が行けない進路じゃん」


古沢さんが悔しがる。新子さんにも田野君にもまだ言っていなかった。


「京子ちゃん、初めて聞いたよ。頑張ってね」


「京子ちゃんなら大丈夫だよ」


2人は応援してくれた。今まで黙っててごめん。


「でも京子ちゃんが医師志望なんて意外だな」


田野君がそういった。


「きっとボクシングかレスリングか柔道の指導者になると思ってたよ」


みんなそう思うだろう。しかし私は止まらない人間。前進あるのみ。


「京子ちゃん、勉強教えてね」


古沢さんがグイグイ来る。そういや2年A組は学年上位の成績者しか入れない。という事は古沢さんは勉強頑張ったんだね。偉いよ。


「全ては京子ちゃんと一緒のクラスになるために頑張ったんだ。もっと褒めて」


うん、偉いよ、古沢さん。そこは褒めてあげるよ。


「お昼ご飯、一緒に食べようね」


早速来ましたか。もう逃げられないな。


「あら、綾小路さん、2年もA組なのね」


柔道部の白井さんだ。何かと私をあおって来る。これまた困ったクラスメートだ。古沢さんだけでも大変なのに白井さんまで。


「国立の医学部?綾小路さん、完璧人間目指してどうするの」


どこまでも前進するまでよ。


「まあ柔道部に私が居る限りは綾小路さんの好きなようにはさせないけど」


彼女の得意技は袖釣り込み腰。一旦決まると逃げられない。またA組は賑やかになるなあ。

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