第143話ハイ・ブラッド
夕食を済ませた私と田野君は五十嵐の車で会場に向かった。試合が終われば連絡する事を五十嵐に伝えて車を降りた。結構な人手だ。
「今日のメインマッチはヘビー級だよ」
田野君は詳しく、対戦の組み合わせも覚えているそうだ。チケットを見せてリングサイドまで進んだ。かなり近いんじゃない?
「そうだよ、このリングサイドなら打撃音も聞こえるよ」
それはすごい。観戦初心者の私は忙しく田野君から情報を入手している。
「今日の最初の試合は女子のタイトルマッチだね」
なるほど、1番強い人を決めるんだね。
「うん、2人とも強いし投げ、寝技も得意だから綾小路さんにも何か参考になるかもしれない」
総合格闘技には詳しくない。選手はどんな技術を持っているのか田野君に聞いてみた。
「ボクシング、ムエタイ、レスリング、空手とか。あとは総合格闘技だね」
それぞれ得意とするベースがあるんだね。
「そう。そこに総合格闘技の技術が加わると選手ごとに個性になるんだ」
なるほど、得意な戦い方に出来るかが大切だね。
「お互いに研究しているからなかなか上手くはいかないけど、そうだね」
会場が暗くなり、派手な音楽とナレーションが始まった。開始の合図らしい。第1試合のアナウンスが流れ、通路から選手が入って来た。第1試合は女子なので女の子が入って来る。2人がリングに上がる。屈強そうな女の子だ。短髪が似合う。
「第1試合ハイ・ブラッドライト級タイトルマッチを行います」
試合の始まるアナウンスが流れて、選手の紹介があった。リングサイドではセコンドがしきりに選手に声を掛けている。両選手がリング中央に立った。試合開始のゴングが鳴った。両者軽くグローブを合わせて挨拶をする。この試合が壮絶な試合になるとは思ってもみなかった。
「ひさしぶりやなあ。総合のリングは」
オッサンが意味深な台詞を言った。
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