第43話勉強が手につかない

底無しの体力を持ってしてもやはり疲れる事は疲れる。家庭教師の羽生さんの言葉が頭に入ってこない。


「京子ちゃん、疲れてるね。今日はこのくらいにしておこうか」


羽生さんも私に気を使っている。すみません。


「いいの、いいの。京子ちゃんが優先する事をしたら良いのよ」


羽生さんを送迎者まで見送って部屋に戻り、ベッドに倒れる。身体がバラバラになりそうだ。


「京子ちゃん、今が辛抱のしどきやで」


オッサンは耐えろと言う。確かに一晩寝たら元気になるんだけど、やっぱり1日の終わりには疲れてしまう。日替わりで部活が変わるため、気持ちの切り替えも大切だ。

このままでは限界突破してしまう。


「京子ちゃん、とにかく食べようか」


何時の間にかご飯もしっかり食べるようになった。痩せようとしている時とは違う。


「消費カロリーと摂取カロリーの計算は大切やで」


不思議とモリモリ食べても太る気がしない。


「そりゃそうよ。めちゃくちゃ運動してるからな」


ご飯が美味しい。おかわり。


「京子はよく食べるようになったなぁ」


父が感心している。


「部活を掛け持ちしていると聞いたが大丈夫かい?」


うん、今のところ大丈夫。食事を終えて風呂に入り、ゆっくりとくつろぐ。

はあ、天国。


「京子ちゃん、生きてるって感じがするやろ」


オッサンに裸を見られるのは抵抗があったけれど、自分ではどうしようも無いから諦めた。


「まあ気持ち良いんだけどね」


明日は柔道か。頑張るしかない。


「そうそう、その意気込みやで。神様も喜んでるわ」


ゴマすりが上手なオッサンだ。

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