第11話トレーニングの日々
徐々にトレーニングの負荷が増えてきた。体を乗っ取られている間は何も感じないがオッサンが抜けた時にドっと疲れがやって来る。
「京子ちゃん、お疲れ様。次は勉強やで」
疲れた体で勉強をする。まだ相性の良さそうな家庭教師が来なくて決まっていない。同性がいい。
「京子ちゃん、好き嫌いはあかんで」
ほっておいてよ、オッサンに体乗っ取られて挙句家庭教師まで男なんてこりごりだ。
「言うて悪いけど京子ちゃん、家庭教師は男の方がええんんちゃう?」
今勉強中だから黙ってて。
「はいはいわかりました」
オッサンが静かになった。数学の参考書を開くも疲労と眠気でどうしようもない。私はベッドに転がった。
「こら京子ちゃん、勉強はサボったらあかんで」
オッサンは慌てている。
「京子ちゃんは何としても文武両道にならなあかんねん」
それも神様の指示?
「いや、これはトップシークレット」
いやもう大体バレてるじゃないか。答えないって事は正解だろ。
「今日はしゃあないな。ゆっくり休んでや」
珍しくオッサンが折れた。
「よしゃ。疲労回復のコツ教えるで」
私を乗っ取り、足のツボから丁寧に押さえ始めた。
「お灸が有ればええんやけど。今度買いに行こう」
ちょっと身体が楽になった気がする。
「気長にじっくりやって行ったらええで」
オッサンも詳しいじゃないか。
「まあ色々と苦労してるんや」
ツボの効果か睡魔が襲って来た。
「ほな、おやすみ」
私は眠りについた。
『で、彼女は順調にやっていると』
「はい、順調です」
『とは言えこちらの胸中を伝えてしまったが為にかなり回り道になりそうですね』
「すんません」
神の前でオッサンはしおらしい。
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