第13話娘の不審な行動
京子の父、啓二は侍従長の板倉より報告を受けた。
「京子がボクシングジムに?」
「はい、どうも入会を希望した模様です」
サンドバッグをねだられたのである程度は予想できたが、以前の娘より遥かに行動力が有るのに驚いた。
「しかし特別おかしな事はしていない。少し様子を見よう」
トレッドミルで走り込む私。
「よしゃ。そろそろ本格的に走ろうか」
オッサンはペースを上げる。ちょっと待ってよ、私の身体よ。
「もう20キロ近く痩せたんや。大丈夫、大丈夫」
木下ボクシングジムに入会を決めた。女性のみの時間が有って結構賑わっているのだ。
「まあ京子ちゃんのレベルやと男子に混じってやったらええと思うけどな」
オッサンは不満気だ。
「行かないよりはマシか」
でもやっぱり女の子同士でやった方が楽しいと思う。
「そう思うか。それやったらええけど」
オッサンを何とか説き伏せた。
「オレを上手く丸め込んだつもりやな。まあ京子ちゃん、今まで頑張ってきたから許すわ」
何を許すわ、だ。全部私の行動じゃないか。
「まあ、あんまり深く考えすぎんのも悪いで」
何か上手い事言おうとしているのが良くわかる。
「さあ、次は勉強やで。頑張りや」
身体からオッサンが抜けて、意識が私に入れ替わる。家庭教師は現役東大生の羽生洋子さんと言う。馬鹿なあたしにも根気よく丁寧に教えてくれる。
「羽生さん、何時も有難うございます」
勉強の終わり際、お礼を言うと笑顔で
「そんな事無いよ。勉強頑張りましょう!」
ふと思ったけど、こんなに良い人達が居たなんて思ってもみなかった。
「な、わかったやろ。キミは神様に愛されてるんやで」
オッサンはいちいちうるさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます