第79話囲碁将棋部

悪い悪い、遅くなっちゃって。


「良いさ。


今日は柔道の稽古後に囲碁を打つ約束をしていた。もちろん、オッサンの希望である。汗臭くてごめんよ。


「いや、それはそれで」


まんざらでもなさそうだ。私への配慮か、部屋が暑くない。じゃあ始めようか。


「持ち時間15分。時間切れから10秒3回。コミは6目半」


早碁である。早速対局した。オッサンに任せる。


「熱くなるなあ。やったるで!」


10分後。


「ありません」


相手が投了した。要は負けましたと言う事だ。オッサンの意見を伝える。

少々地に辛い碁だから、もうちょっと広い視点で打てばもっと強くなれるよ。


「綾小路さん、化け物じゃない?部長、全国大会出場者だよ」


バッと部長は立ち上がり、私に頭を下げた。


「頼む!綾小路さん、囲碁の大会に出て欲しい」


他の部活が休みなら良いよ。


「本当かい?信じて良いんだね」


部長は興奮している。


「これで桐生学園囲碁将棋部は全国優勝間違いなしだ!」


部室が湧き立つ。将棋と違って囲碁部は部員集めに苦慮したらしい。だから囲碁が打てるオッサン(私)に話が回って来たのだ。私はオッサンが心配になった。いくらなんでも何でもやり過ぎじゃない?


「肉体疲労が無いから大丈夫や」


ちょっと器用貧乏な感じがしないでもない。何か一つに絞るのも良いんじゃない?


「それやと涼子ちゃんのキャパが広がれへんやん。あかんあかん」


なんでもする、なんでもやってみる。オッサンが最初に言った言葉である。

また忙しくなりそうだ。



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