第158話帯状疱疹

帯状疱疹たいじょうほうしん。体の免疫力が落ちると体に帯状の疱疹が出る。原因であるヘルペスは多くは中高年で発症しやすいが、まれに若くても発症する事が有ると言う。事前に五十嵐にフルーツの盛り合わせを用意させていたのでお見舞いの形になった。新子さん、来たよ。玄関まで来た新子さんは部屋まで案内してくれた。


「散らかっていてごめんね」


全然散らかってない。ただ机には書類が沢山ある。


「どうしても気になって」


痛みに耐えながら机に向かうと言う。駄目だよ、休養しないと。


「うん、しばらく休んだら大丈夫だよ」


新子さん、弱音を言っても良いんだよ。


「あのね、京子ちゃん、本当は私も限界なの。でも断れない。みんなの期待を思うと」


「京子ちゃん、こりゃあかんで」


オッサンが口を挟んでくる。私は京子ちゃんにマネージャーを辞める提案をした。


「そんなこと無理よ」


わかってる。でもこのままだと新子さんが本当にダウンしてしまう。今回の病気は体が限界だって言っているんだ。


「でも私の替わりは居ないわ」


大丈夫、マネージャーの仕事を他のマネージャーに振り分けてフリーのマネージャーになれば良い。


「顧問の先生になんていうの?」


そのあたりは私に任せてよ。長居もかえって新子さんに良くないと思い、新子さんの家を後にした。翌日。レスリングの練習だが私はボクシング部の顧問と話をしていた。


「うむ、確かに新子に頼りきりのところがあった。フリーのマネージャーになる事を認めよう」


この提案がどれだけ新子さんの負担を軽くできるかはわからない。でも努力はするべきだ。私は他のマネージャーに伝えた。思えば何でも1人で抱え込んでしまう新子さんに頼りきりだった他のマネージャーも反省すべきだ。メリッサに伝えた。メリッサ、新子さんはフリーのマネージャーになったからあまり期待しないでね。


「新子さんが疲労で倒れたのは聞きました。私にも原因があると思います」


これはみんなの問題なんだ。新子さんが1人で抱える問題ではない。私には新子さんを守る。


「そうや京子ちゃん、思い出せば新子さんのおかげでここまで来れたからな」


オッサンの言う通りである。今まで新子さんは私をカバーしてくれた。今度は私が助ける番だ。

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