第148話コート

「京子ちゃん、寒くないの?」


うん、あんまり寒くない。ブレザーにマフラーだ。


「風邪引かないように気を付けてね」


インフルエンザになってからは部活動以外はマスクを着けている。もうインフルエンザはこりごりだ。


でも薄着なのかもしれない。ストッキングを履いているが冷えが足元の体温を奪っていく。しかし新陳代謝が良いのか、ちょっとした暖房で汗をかいてしまう。


「厚手のストッキングにしてね」


新子さんのアドバイスで120デニールのストッキングにした。これでかなり暖かい。しかし面倒くさい。教室には暖房が効いていて、ブレザーを脱いだ。みんな寒い寒いと言うが私は汗が出る。ちょっと暖房効きすぎじゃない?新子さんに言うと、


「暖房が効いていても寒いよ。きっと京子ちゃんは代謝が高いから発熱しているんだね」


新子さんの指摘は鋭い。確かに言われてみればそうだ。昼食まで空腹に耐えかねて間食用の鳥のササミのボイルをタッパー1つ分を平らげてしまう。食べても食べても太らなくなった。むしろ体重が落ちてきてこれはまずいと食事量を増やしているくらいだ。


「運動で激しくカロリーを消費する体質になったからエネルギーを浪費するんだね」


新子さんの指摘は正確だ。今日は学食を食べたくて弁当を持って来ていない。学食でカツカレーとカツ丼、ラーメンを頼んだ。


「綾小路、流石にそれは食べ過ぎだよ」


クラスメイトと部活動の先輩に言われたがやはり食欲には勝てない。あっさり完食する。


「食べるのは良いが、体重増やすなよ」


わかっています。その分、倍トレーニングしますから。食事後は体がホカホカして暖かい。教室まで帰るとまたジワリと汗をかいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る