第74話アマゾネス京子

朝、私が教室へ向かうとなんか賑やかだ。入ってみると黒板にデカデカと


『アマゾネス京子』 『メス最強』


などと書かれていた。私はバッグを机に置いて黒板へ向かい、消した。教壇きょうだんの前に立ち、私は大きな声で言った。


文句が有るなら正々堂々、私の前で言え。瞬殺してやるから。


そう言うと潮が引くようにクラスメートが席に着いた。


「京子ちゃん、気にしないでね」


新子さんが声を掛けてきてくれた。


「目の前でよう言わんいちびりや。気にする事あらへん」


オッサンもそう言っている。そう、意気地なしのやっかみだ。でも犯人捜しをして犯人を見つけたとしてもシバクと私の立場が危うくなる。


「京子ちゃんはそんな人間ほっといて更に高みを目指すんやで」


オッサンの指摘は正しい。時間は有るが次の大会に向けて準備をしないといけない。


「京子ちゃん、これからのトレーニングメニュー、考えよう」


そうだね、それが一番だ。


「酷い奴らが居るもんだ」


古沢さんが聞いたのかお昼休みにやって来た。


「そんなの、綾小路さんの才能に嫉妬してるだけだよ」


ストーカー臭い古沢さんだが、指摘は正しい。


「古沢さん、隣のクラスからわざわざご苦労様です」


新子さんの皮肉に古沢さんは気にせずグイグイ来る。


「文字的に女子の仕業だね」


うわあ、陰湿だなあ。どいつだ、どいつだ。女子は陰湿だからグループかもしれない。女子でもビンタくらいしたい。


「あかん、あかんで京子ちゃん!暴力は京子ちゃんの努力が台無しになるで」


確かに。私が本気でビンタしたらどうにかなるかもしれない。でもいつも通りのお昼の風景。だれがやったんだろうと言うのもお昼ご飯を食べていると忘れてしまった。



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