第20話勉強、どない?
私の勉強は夜遅くになる。ボクシングジムも有るし、家庭教師の指導もある。とても忙しい。土曜日曜も勉強だ。
「勉強、どない?」
オッサンが聞いて来た。ボチボチやで。
「キミ、関西弁もええやん」
オッサンはノリが良い。
「勉強は急ぎ過ぎてものんびりしすぎてもアカン。しっかり勉強する時はして、休みの時は休むんやで」
高校受験は来年。もう時間が無い。家庭教師の羽生さんは急ぐ必要は無いと言う。志望校合格のレベルは十分に有ると言う。私が選んだ高校は、もちろんボクシング部が有る高校だ。
「あのな、京子ちゃん、言いにくいんやけど、神様から伝言があってな、高校入ったら、柔道とレスリングもやってって言われてんねん」
ハァ?ボクシングの上に柔道とレスリング?運動ばっかりじゃん。それも格闘技。なんで?
「そう、そこやねん。神様は京子ちゃんに乗り越えられへん壁は作らへん」
だったら私立になるかな。いっそのことスポーツ推薦で入れたら良いのに。
「それはあかんな。ちゃんと勉強もせんとあかん」
オッサンは本当に真剣なんだろうか。怪しくなってきた。
「あのな、京子ちゃん。神様は人間に試練を与えて人間としてのレベルアップを願ってんねん。沢山の人がそれが出来へんで挫折して人生を終えるねん。でもな、京子ちゃんは特別やねん。神様も目の付け所が違うわ」
神様がこのオッサンを私にあてがって試しているのだろうか?しかしそれにしても具体的過ぎる。目標が明確過ぎる。
「そう思うやろ?神様は俺も含めて人間の考え方の遥か先を行ってる。俺も神様にはかなえへんで」
でも神様の試練を乗り越えたら何か良い事が有るのだろうか?
「そりゃあるで。今は内緒やけどな」
オッサンは話の核心にはいつもはぐらかされる。また逃げた。
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