第165話バレンタインデー
メイド長の笹原さんにバレンタインの相談をした。笹原さんは
「義理は市販品、本命は手作りが良いかと」
なるほど、じゃあ田野君には手作りだな。
「京子様は部活を掛け持ちしているゆえ、チョコレートの量も大量になると思います」
笹原さんは現実主義なので鋭い。
「ですから本命に絞ってチョコを配られたらよろしいかと」
うんうん、じゃあ田野君に絞ってチョコを作ろう。
「すぐに手作りの準備をいたします」
笹原さんがリビングから消える。材料を準備するのだろうか。私はネットでチョコの作り方を調べる。私はキッチンに立つことはあまり無いのでこと料理に関しては素人である。笹原さんが
「私が作りましょうか?」
笹原さんはそう言ってくれたが、それでは何のためにチョコにするんだと言う事もあるから自分で頑張ってみる。
日曜日。私はキッチンに立っていた。広すぎて戸惑ってしまう。笹原さんはエプロン姿が珍しい。
「では予定通り、簡単手作りチョコを作りましょう」
ゴトリとチョコレートの大きな塊を持ち出した。適当な大きさに砕き、
コネコネ湯せんしているボウルの中のチョコをヘラで溶かし、こねている。良い感じに溶けて来た。
「このチョコレートは市販されていない高級なチョコです。仕上がりも違います」
笹原さんも好きな男子にチョコを?
「それは有りません!」
顔を真っ赤にして否定している。それはもう、肯定だよ。量は2人分。
「もう1つは誰ですか?」
笹原さんが聞いて来た。もう1つはお父さんだよ。
「きっと喜ばれる事でしょう」
2人チョコと格闘した日曜日の午後である。
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