第3話一カ月は頑張らんとあかんわ

今日も1日2度のウォーキングを終え、シャワーを浴びる。


「どないだ?大分慣れた?」


何言ってるのよ、しんどいよ


「それがもうちょっと頑張ったら良い方向に向かうで」


そこまでどれくらいかかるの?


「そりゃ1カ月は頑張らんとあかんわ」


気が遠くなる。夕食を食べに食堂へ向かう。早くに席に着いたので一人だ。メイド長の笹原さんがサラダを持って来てくれた。


「ドレッシングはオリーブオイルを使った低カロリーのものです。お好きな分使ってください」


たった1週間しか経っていないが、身体に変化が現れた。ウォーキングで流す汗が気持ちがいい。サラダと鶏のささ身が美味しい。


「ちょっと身体、変わってきたやろ」


うん、ほんの少し。


「それでええ。じっくりやっていこう」


ところで貴方、何者?


「まあ追々説明するわ」


はぐらかさかれた。


「京子ちゃんはもう一つ頑張らんとあかんことが有んねん」


何?


「勉強や。来年には高校へ行くで」


やだ。行きたくない。


「行かんとあかんねん。バリバリ勉強してな。京子ちゃんなら出来るで」


励ましてもやらないよ


「それやと困るねん。俺も神様に怒られる」


怒られたら?


「そう言うならオレにもやらんとあかんことになるけどいいん?」


また私の身体を乗っ取るつもり?


「まあそうなるわな」


自分でする。


「それが良い。自分で頑張らんとな」


私はお父さんにお願いするために書斎までやってきた。ノックすると返事が有った。


「京子じゃないか、どうしたんだ」


「お父さん、私、高校へ行きたいから家庭教師を付けてほしいの」


お父さんの喜びようったらなかった。


「京子、任せなさい。最高の家庭教師を雇おう」


書斎を後にした。


「な?上手く行くやろ?」


大丈夫かな?


「あんな、京子ちゃん。キミには人より優れた所が沢山あるんやで」


褒め殺しするつもり?


「これはホンマやで。気が付いて無いだけや。京子ちゃんは出来る」


俺に任せてや、とオッサンは言った。


「じゃあ夕方のウォーキング、始めようか」


私はTシャツと短パンに着替えてジムに向かう。もちろん私の意思ではなく、オッサンに身体を乗っ取られている。


「じゃあ頑張ろうか!」


オッサンは乗り気である。

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