第145話冬の或る日

早朝に目が醒めた。部屋は冷え切っている。私は暖房のスイッチを入れてベッドから出た。日課のジョギングの服装に着替える。私は冬でも割と薄着でジョギングに出る。犬のラブも尻尾を振って私を待っている。ラブにリードを付けて家を出た。ゆっくりと河川敷かせんじきを目指す。ラブもご機嫌である。私はラブのうんち用のビニール袋とおしっこ用の水をペットボトルに入れて持っている。早速ラブはうんちの仕草しぐさを見せた。私は走るのを止めてラブをじっと待つ。ラブは大きなうんちをした。ビニール袋で取ると暖かさが伝わって来る。ラブは健康そうだ。また1人と1匹は走り出した。途中、何時も会うご夫婦の柴犬にラブが挨拶あいさつすると折り返し地点だ。このジョギングはあくまで体を温めるだけでそれ以上に理由はない。


「京子ちゃんも走れるようになったんやなあ」


オッサンが感慨深かんがいふかく言った。そう、約1年前は歩くので精一杯だった。人間って変われるものだね。


「そうや。人間、やればやるほどできるものなんや。それをあきらめるのはもったいないで」


ラブの足をいてやり、リードを外すとどこかへ行ってしまった。きっと父親を起こしに行ったのだろう。朝食までまだ時間があるので復習する事にした。きちんと復習をすると必ず結果として表れてくる。大切なルーティンだ。


「文武両道も大変やね」


オッサンはそう言って私に言う。そうだよ、大変だよ。学校に行けば授業に部活、帰ってからも勉強。体を休めるのに時間を作るのも大変だ。でも眠りにつくとスッキリと疲労も無く回復して目が覚める。若さゆえか私の利点か。朝食の時間となり、朝食だ。食事を済ませて制服に着替える。私は登校時間が早い。部活の朝練であったり、勉強のためだったり。


「よしゃ。京子ちゃん、今日も頑張ろうか」


オッサンは気楽に言ってくれる。

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