第202話京子、ブラブラする
学園を後にして京子は一旦帰宅し、着替えて街へ出掛けた。用事は無い。ただブラブラするだけだ。京子は本屋へ行った。しかしどの本にも興味が沸かず、しばらくしたら後にした。カフェでコーヒーを飲みながらぼんやりしていた。その時、声を掛けられた。
「綾小路さんよね?」
うん。そうだよ。
「やっぱり!クラスメートの樋口だよ」
樋口さん、そう言われればそんなクラスメートも居たような。ああ樋口さん、ここでバイトやってるんだ。
「うん、小遣い稼ぎだよ」
今日は暇だからゆっくりしていってね、と去って行った。アルバイトか。そういややった事無いなぁ。ぼんやりと外を眺めていた。
「はい、綾小路さん、オマケ」
樋口さんがケーキを持って来てくれた。チーズケーキだ。頂いて良いの?
「うん、私のおごり。味わってみてね。美味しいから」
早速一口食べてみた。美味しい。うん、美味しいよ。
「でしょう?ここのお店で一番のお勧めよ」
クラスのみんなはそれぞれ色んな思いで部活やアルバイトをしている。それに比べて私はなんだ。打ち込んで来た部活も放り投げてブラブラしているだけじゃないか。
「京子ちゃん、何もそこまで自分を追い込む必要ないで」
オッサンはそう言ってくれるが、自分ではわからない。
「燃え尽き症候群一歩手前やな。部活はまだやったらあかん」
オッサンから禁止令が出された。私もそう思う。中途半端な気持ちで行ったら必ず怪我するし、何より真剣に取り組んでいる他の部員に申し訳ない。うん、もうしばらくぶらぶらするよ。
「京子ちゃん、それなら部活へ行くまで勉強に打ち込んだらどうかな?」
家庭教師の羽生さんが言った。筋としては正しい。うん、しばらくは勉強しよう。私の将来の夢は医者になる事だ。その夢を叶えたい。
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