第17話最近の女の子

そろそろ行こうか。なんの話?髪型だ。


「別に今のままでもええんちゃう」


オッサンはそういうがボブカットの今を思い切ってベリーショートにしようと思う。


「ベリーショート?なんや新しいケーキの種類?」


アホな事を言っている。最寄り駅の近くに新しい美容室が出来ているのでそこに予約した。


当日。


「じゃあ思いっきりベリーショートにしますね」


はい、よろしくお願いします。


「もともと小顔だし、可愛いから似合うわよ」


ずけずけと言うこの美容師は男だ。オカマだろうか?


「キモいわこの男。でも腕は良いみたいやな」


オッサンが言った。確かにカットは早く、ちゃんと鏡で見せながらどこをどう切るか説明も上手い。


「気に食わんがやりおるわ。この男」


なるほどね、この店に決めて正解かも。


「でも綾小路さん、ベリーショートは新鮮さがウリ。小まめにカットしてくださいね」


最近の女の子はロングを選ぶけど、時々思い切ってショートにする人も居るわ、とハサミを動かしながら雑談する。鏡にはスッキリした私が居る。


「な、言うたやろ。キミはべっぴんさんやって」


今更褒め殺しはもう遅い。美容師は言った。


「あともう少し細かったらモデルになれるわよ。逸材だわ」


褒め殺しがここにも居る。一体何人が私を褒めるだろうか。


「まあしゃあないわな。でも京子ちゃん、同性からもモテそうや」


そうなのだ。木下ボクシングジムでも田中にしつこく絡まれる。しかし勉強しているのかボクシングに詳しい。ボクシング博士だ。


「田中ちゃんはあなどられへんで。階級が違う言うても強い」


オッサンは私にボクシングを教えてくれた。田中よりも若干情報が古いがしっかりとした理論だ。


「おれは前の髪型が好きやったなぁ」


未練がましく言ってのける。大したものだ。


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