【悪戯】

「それってバレなかったの?」

 とんでもない告白に琴美は心配そうに聞いた。

「バレた……先生に仕草の違いを見破られて……」

 それに対して羽音は、過去の過ちを恥じるように答える。

「それで、この二人は違うクラスにしちゃ駄目だって事になったみたい~」

 しかし、音羽は全く悪ぶった様子も見せずに平然と言った。それからちょっと残念そうな顔をする。

「今なら、演技力も身についてるから絶対バレないんだけどな~」

「おとは……」

 演劇部々長の問題発言に副部長の羽音は呆れ顔だったが、琴美はちょっと首を傾げた。

「さすがにそれは無いんじゃないのかなぁ? 二人ってかなり雰囲気違うし」

 慣れれば直ぐに見分けがつくし、との疑問に、音羽は悪戯っぽい笑みを浮かべて聞き返した。

「うふふ~……だったら~、試してみる~?」

「えっ?」

 意表を突かれた問いかけに琴美は目を丸くする。その隣で、また姉がよからぬ事を思いついた、と心の中で頭を抱える羽音だった。

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