【富士は】

「それでね……」

 お菓子を食べながらわいわいおしゃべりをしていると、新幹線は静岡へと到達した。

「わぁー!」

 そこで、窓の外を見た琴美が感嘆の声を上げる。

「富士山だ!」

 感激のあまり、思わず窓に張り付く。

 しかし……

「そうだね~」

 音羽がおっとりと言った。

「そだね」

 羽音はお菓子を食べながら応えた。

「そうだな」

 薫は真顔で頷いた。

 三人は、琴美とは対照的に、別に感動する様子もいなく落ち着いていた。

「富士山だよ!?」

 その反応の薄さに、意外そうに叫ぶ琴美だった。

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